84話 冬の登山かってぐらいの勢いで。
84話 冬の登山かってぐらいの勢いで。
(そうだな。貴様は随分と強くなった)
(ふふん。だろう? 『アウターゴッド×4の存在値』+『俺の戦闘力』……この状況は、もはや無敵。俺が望めば、敵は死ぬ。俺こそが最強。俺がガ〇ダムだ)
などと、頭に乗ったセンの発言に対し、
ヨグシャドーは、
(確かに、今の貴様なら、私の本体が相手でも、『初期形態時のウォーミングアップ』に、『数分間ほど殺されずに付き合う程度』なら、不可能ではないだろう)
――と、だいぶ『ガン決まった返し』をぶつけてきた。
センは、普通に理解が遅れ、呆けた顔の中で、
(……初期形態……数分……い、いや、さすがにそれは言い過ぎだろ)
(うむ、そうだな。さすがに数分はいいすぎた)
(だろ? 勘弁してくれよ、ヨグシャドーさん。いくらなんでも、脅しすぎ――)
(さすがに、今の貴様ごときが数分も持つわけがない。数秒が限界だな。まあ、私の本体を前にして、数秒持つということは、すさまじい偉業なのだが)
(……)
絶句しているセンの表情に満足したのか、
ヨグシャドーは、ノリノリの声で、
(下級のアウターゴッド四体程度じゃ、まだまだお話にならん。私の本体をナメるな。バカチンが)
(……冬の登山かってぐらいの勢いで、アウターゴッドを重ね着しているのに、まだ話にならないって……もう、それ無理だろ。ぶっちゃけ、さすがに、そろそろ、神話生物を装備できる容量がパンパンで、処理落ちしかけてんだよ。これ以上、アウターを着込んだら、重くて一歩も動けねぇんだよ。今の俺でも話にならないってのが事実なら、もう、本当に、どうしようもないんだが……?)
(最初から、ずっと、そう言っている。どこで、何を、どう、勘違いしたかは知らんが、私の本体は、貴様ごときがどうにかできる絶望ではない。貴様が……というか、この世界が生き残る方法はたった一つしかない。貴様と、あの女どもが真の意味でツガイになるのこと。それだけが、この世界を救う唯一の方法)
(……)
(簡単な話だろう。その気になれば数分でクリアできる。貴様の早漏ぶりを考えれば秒でクリアも可能)
(……人の下半身をテキトーに低く見積もってくるのは、やめていただこうか。というか、神の頂点が、下品な言葉を使うなよ)
(貴様の、その、まるで歴戦のお嬢様のように下ネタを忌避する童貞感が、私は嫌いだ)
(……歴戦のお嬢様のような童貞感って、また、ずいぶんとファッショナブルなベイビーワードだな)
テレパシーで、空っぽな会話をしているセンとヨグシャドー。
そんな、無意味な時間が穏やかに過ぎ去ったところで、
それまで、ずっと呆けていたゾーヤが、センに、
「……あの恐ろしき神々を……鎧に変えて……纏っているのですか……?」
そう問いかけた。
自分の目で見た現実を言葉に変換して、
とにかく『理解しよう』と努力しているゾーヤ。
そんな彼女に、センは、
「鎧っていうか、パーツかな。この小手の部分がギで、このバングルみたいなのがヤイで――」
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