7話 ギャグ漫画補正。

 7話 ギャグ漫画補正。


 なによりも、ニョグタを驚かせたのは、

 カンツの『ボロボロだった姿』が、

 『ほんの数秒』が経過しただけで、

 何事もなかったかのような、

 『完全に無傷の状態』に戻ってしまったということ。



「――ば、ばかな……ど、どういう……」



 その、あまりに不可思議な光景を受けて、

 さらなる困惑の渦に巻き込まれるニョグタに、

 カンツは、豪快に笑いながら、


「褒めてやるぜぇ! 本当に、なかなかやるじゃねぇか! マリスの異次元砲は、ここまで痛くない。『火力だけ』は随分とアップしているようだな! さすがコスモゾーン・レリックだ! 本当に、お前さんは、いいブーストアイテムだよ! がはははははは!」


「ど、どういうことだ……私の異次元砲が直撃しているのに……なぜ、何事もなかったかのように……」


「不思議か?! だろうな! ちなみに、実は、ワシも、お前と同じくらい、ワシに対する疑問が止まらんよ! なんで、ワシは、あれほどの一撃を受けて死んでいないのかねぇえ! わけがわからんね! がはははは!」


「……」


「ワシのプラチナスペシャル『ギャグ漫画補正』は『なんだかよくわからんけど、無敵で不死身になる』という、ワケの分からんスペシャルでなぁ! かつて、このスペシャルの『発動条件』や『根本的なシステム』等について、色々と検証したり、実験したりもしたが、何十年・何百年という時間をかけようと、結局、一ミリも理解できなかった! というわけで、ワシは、自分のスペシャルを理解するのをやめた! どうだ? 笑える話だろう?! がははははは!」


 一つ付け加えておくと、カンツは、

 『ギャグ漫画補正を持っているから、タンクとしての適性が高い』、

 ――というワケではない。


 『そもそも』、タンクとしての適性がべらぼうに高い。

 防御力、自動回復力、耐性値、

 すべてが、ありえないレベルで非常に高い。


 『その上』で、カンツは、

 『ギャグ漫画補正』という、

 『なんだかよくわからないけど、無敵&不死身になる』

 という、きわめてふざけたチートを有している。



「む、無敵になるスペシャルなど……そんなふざけた話があってたまるかぁ!」



 そこで、ニョグタは、

 全身に、さらなる力を込めて、


「――虹気!!」


 虹色のオーラに包まれる。

 その様を見て、

 カンツは、愉快そうに、楽しげに、


「おお! なんだかよくわからんが、威圧感が増したな! いいねぇ! かっこいいねぇ!」


 呑気なことをほざくカンツに、

 ニョグタは『まっすぐな怒り』をあらわにして、


「貴様に神の力を教えてやる! これが! これこそが! 真なる神の世界だ!!」


 膨れ上がる魔力とオーラを、

 両手に結集させて、




「道化の横行を許しはしない! 道理のままに死ねぇ!! 異次元砲ぉおおおおお!!」




 先ほどよりも、はるかに膨大な火力を誇る異次元砲が、

 カンツの全身に降り注ぐ。


 ケタ違いの暴力。

 絶対的なオーラの収束を、その身に浴びていながら、

 しかし、カンツは、


「いいねぇ!」


 当然のように、ケロっとしていた。


 黒焦げ状態になって、

 プスプスと音をたててはいるものの、

 いつも通り、豪快に笑っているばかり。


 その黒焦げになった肉体も、

 1・2秒後には、また、

 何事もなかったかのように元通り。

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