6話 ヘイヘイ!

 6話 ヘイヘイ!


「あだだだだだだだっっ!!」


「がはははっ! もっと歌え! 泣き叫べ! がぁーはっはははぁあああ!」


 うたうように、踊るように、

 カンツは、数えきれない弾丸を、

 バカみたいに撃ち続ける。


(ちょ、ちょっと待て……なんだ、この強さ……し、信じられん威力……無数に放ってくる銃弾の一つ一つに、膨大な魔力が込められている……っ)


 理解が追い付かず混乱するニョグタ。

 暴風のような猛攻から、

 どうにか抜け出そうともがくも、

 しかし、


(粗雑な猛攻に見えて、実のところ、驚くほど精緻な弾幕……に、逃げ場がない……っ)


 わずかな抵抗も出来ず、

 穴だらけで吹っ飛ぶニョグタ。

 そんなニョグタの頭を掴むカンツ。


「つーかーまーえたぁっ!! がははははぁ!!」


 地面に思いっきりたたきつけ、

 右足で、ニョグタの胸部をズガンと踏みつけると、

 カンツは、ニョグタの頭部に二つの銃口を突き付けて、


「――がぁはははははははははははははははっっっ!!」


 ラリったように笑いながら、

 無限の弾丸を叩き込んでいく。

 リロードの休憩などなく、

 ひたすらに、

 ただひたすらに、

 魔力の弾幕を、

 ニョグタの頭に注ぎ込む。


「ばばばばばばっ! ぼはっ! ぐぁ!!」


 息継ぐ間も与えてくれない速攻。

 ニョグタは、


「――え、『影潜(えいせん)ランク25』っ!!」


 忍専用の魔法を使用して、

 世界の影に潜む。


 しかし、


「おっと、逃げないでねぇ!! がはははは!」


 カンツは、『世界の影』に手を突っ込んで、

 ちょっとしたキノコでも採集するようなノリで、

 ニョグタを引っこ抜くと、


「まだまだ、ワシの時間はおわらないぃ♪ がははははははぁ!!」


 無数の弾丸を、


「ばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばっ!!」


 さらに、休みなく、

 これでもかと、注ぎ込む。


 凶悪な暴力の芸術。

 そんな中で、

 カンツは、テンション高く、


「どうした、神様! ヘイヘイ、神様! 貴様が『すげぇ神様』だってんなら、反撃の一つでもしてみてくれや! こっちはいつでも、ウェルカムだぜ、がはははははははは!」


 終わらない弾幕の中で、

 ニョグタは、


「ぐぅぬぅうっっ!! み、醜い猿がぁああ!!」


 全身にオーラと魔力を充満させて、




「神の裁きを受けるがいい!! 異次元砲ぉお!!」




 極大魔法で暴れていくが、

 しかし、

 カンツは、


「おおっ、痛いねぇ! がはははは!」


 見た目ボロボロにはなっているものの、しかし、ケロっとしていた。

 元気一杯で、ただただ豪快に笑っている。


「いやはや、ほんとに、すっっっさまじい異次元砲だったぜぇ! 天下のタンク系上位でも、一撃で死ぬこと間違いなしの究極的な一撃だったなぁ! がははははっ!」


 『ニョグタの異次元砲を受けていながら死んでいない』という、

 その単純な事実にも、当然心底から驚かされたが、

 なによりも、ニョグタを驚かせたのは、


「――っっ?!」


 その『ボロボロだった姿』が、

 とくに魔法を使ったというワケでも何でもないのに、

 『ほんの数秒』が経過しただけで、


 何事もなかったかのような、

 『完全に無傷の状態』に戻ってしまったということ。



「――ば、ばかな……ど、どういう……」

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