1話 九華十席の序列14位カンツ・ソーヨーシ。

 1話 九華十席の序列14位カンツ・ソーヨーシ。


 ――ゲンたちが、チャバスチャンと、アレコレしていた頃、

 その現場から、さほど離れていない場所にある遺跡ダンジョンを、

 『アルキントゥ』『ディマイズ・マリス』『カンツ・ソーヨーシ(十席)』の三人が攻略していた。



「がははははは! こいつは、また、ずいぶんと、ふざけたダンジョンだな! ワシも、かなり長いこと生きているが、これほどの強力なモンスターばかりが沸くダンジョンは、他に見たことがない!」



 九華十傑十席の序列14位。

 元長強『カンツ・ソーヨーシ』は、豪快に笑いながら、

 迫りくるモンスターをなぎ倒していく。


 メイン武器は無数の銃器。

 基本的には、二丁持ち。

 『実弾やレーザーを発射するタイプ』や、

 『オーラを媒体にして乱れ撃つタイプ』や、

 『魔力を圧縮して撃ちだすタイプ』など、

 様々な種類の銃を自由に切り替えながら、

 豪快に乱射しまくっている。

 ハンドガンタイプ、マシンガンタイプを二丁で使用するのはもちろん、

 バズーカ系の重火器なんかも、両手に携えて、

 休みなく撃ち続ける。


 エゲつない高火力。

 強力な鬼やドラゴンが、あっさりと、グチャグチャに潰されていく。


「まあ、しかし、ワシの手にかかれば、こんなものよ! どうした、どうした! まだ、ワシはノーダメだぞ! 一発くらい、入れてみせろ! がはははははは!」


 アドレナリン全開のラリった目で、

 とにかく銃を乱射するカンツ。


 近づくスキを与えない弾幕の嵐。


 なんとか、弾幕の間をくぐりぬけ、

 懐に飛び込んできたスピードのあるモンスターもいたのだが、

 しかし、


「がはははは! ワシは別に遠距離特化じゃないぞ!」


 野性味あふれるムキムキボディから繰り出される豪快な一撃で対処。


 カンツは、柔道系の投げ技や、空手系の打撃も、

 かなり高いレベルで会得している。

 『高いレベル』というか、ゼノリカでも最強クラス。


 調子次第では、十席序列一位のアクバートとやりあって、

 『完勝すること』も可能という、ふざけた強さ。


 遠距離・中距離・近距離、すべてに対応している万能ファイター。


「さあ、どんどんいくぞ!」


 暴走機関車のように、前へ前へと進んでいくカンツの背中に、


「――カンツさん、ちょっと、お待ちください。バフが切れましたわ。もう一度、かけなおしますので……あの、いや、だから、待ってください!」


 アルキントゥが声をかけるが、

 しかし、


「がはははは!」


 アドレナリンMAXのカンツは、気にせず、猪突猛進。

 テンションが上がると、周りが見えなくなるタイプ。


 ちなみに、本人はノーダメと言っているが、

 ここまで『一撃も受けていない』というワケではない。


 実のところ、序盤からずっと、

 敵の遠距離攻撃が、ちょこちょこ被弾している。

 だが、実際の話、カンツにダメージが入っている様子はない。


 そこが、カンツの最も特筆すべき点。


 ――圧倒的なタンク力。

 暴力的ともいうべきケタ違いの防御力。

 ド〇クエのメタル系すら裸足で逃げ出す異次元の耐久値。


「かすり傷など、ダメージの内に入らん! もっと、気合の入った攻撃をしてみろ! かゆくもないぞぉお! がはははははぁ!!」


 圧倒的な自動回復力。

 信じられない耐性値。


 ゼノリカが誇る、

 最強クラスのタンク兼アタッカー。

 それが、栄えあるゼノリカの天上、

 九華十傑第十席序列14位、カンツ・ソーヨーシ。








 ――――――――――


 ・カンツ・ソーヨーシの詳細。


 九華十傑十席の14位。

 元長強


 メイン職業「インスペクタージェネラル(楽連・愚連のまとめ役)

 サブ職業「無数(超多芸)」


 頑固な正義感を持つ「第2~第9アルファにおける暴力装置」のトップ。

 「楽連・愚連」という「武装警察」全体を動かす際に「トップの指揮権」を有する。

 もちろん、命令系統の最上位は「神帝陛下」だし、

 三至や五聖からの指示があれば、それに従うワケだが、

 上からの指示が何もない場合は、カンツが全てを判断・決断することになる。

 (あくまでも、楽連・愚連に限定した話ではあるが、上からの指示が『ない場合』、もしくは『指示がくるまで』は、カンツに最大級の裁量権がある)


 いわば「超・長強」といった感じの役職。



 カンツの「頑固な正義」とは、

「正統なる『弱き』を救い、許しがたき『悪しき』を皆殺しにする」

 というもの。

 何を「正統」とするのか判断は「100%カンツ自身」で決める。

 仮に、最終判断が「ゼノリカに反するもの」だったとしても、

 自分の中で「正統」であるならば、貫き通すという覚悟を有している。

 そのことは、ゼノリカに通告しており、

「もしもの時は、私がゼノリカの敵になる場合もある。それは理解しておけ」

 と明言している。


 かなり頑固がすぎる正義漢。



 凶悪なフィジカルと、優れた戦闘力を有する。

 戦闘技能だけで言えば、十席の中でもトップクラス。

 その上、多芸が幸いして、「アイテム制作」でも、

 サポートとして関わることが多い。


 とにかく多芸であり、漫画家や小説家などといったサブカル分野でも名をはせている。



 いわゆる「天才的」な人物であり、

 存在価値は極めてレア。



 ただ、性格が極端すぎるので、あまり高い地位にはついていない。

 本人も、今ぐらいの地位に満足している。

 というより、これ以上「上」にはいきたくないと思っている。

「十席の中間という、この、責任が緩い『ぬるま湯』が心地いい」などとうそぶいているが、暴力装置のトップという役職は、決してぬるま湯ではない。



 魔法適正がすこぶる高く、

 耐性に関しては天上ナンバーワンとも呼び声が高く、

 知性もかなり高く、創造性にもあふれ、機転がきき、

 その上で、フィジカルがハンパではないという、

 全ステータスが極めて高い「とんでもなく優れた人材」だが、

 「ルックス」だけは、正直、あまりよろしくない。


 いわゆる「野獣」タイプで、

 「そういう男」が好きな「男性ホルモン募集中の女性」や「ガチムチ好きのニューハーフ」なんかに、すこぶるモテるが、一般受けはしない見た目。



 ロックロック・テリーヌのように、

 「ゴリラ系の顔」なのではなく、

 全体がガッツリとゴリラな感じ。



 ――――――――――



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