太陽の魂。

 太陽の魂。


「謙遜じゃねぇよ。ただの事実だ。背負ってきたモノが、俺に不遜を通させているだけで、実際のところ、俺なんざ、ただのド変態だ。それ以上の何かにはなりえねぇ」


 そう前を置くと、

 センエースは、


「虚構の俺と違い、お前ならば、いつか届くだろう。『バグ技を根源にしたハリボテ』ではなく、すべての覚悟を積み重ねた本物の、清廉なる頂点に」


 グっと全身に力を込めて、


「お前の可能性に対する餞別(はなむけ)として、今の俺に出来る『とびっきりの無茶』を見せよう。リアルな嘱望(しょくぼう)として、その心に刻み込むがいい。お前が目指すべき世界を体験させてやる。……具体的に言おうか? 100メートル走のペースでフルマラソンを走り切ってやる」


 そう言った直後、

 ドクドクと、全身が脈動していく。

 センエースの全てが沸騰する。


「すぅ……はぁ……」


 数度の深呼吸、

 その先に、


 統一された神の光が、荘厳な輪を形成していく。

 夢見がちな祈願(きがん)ではない。

 ただの履行(りこう)。

 自分自身と交わした、魂の誓願(せいがん)。






「――究極超神化6/アポロプラチナ・ソウルギス――」






 顕現する、黄金の白銀。

 禍々しさを感じさせる狂気のメタリック。

 サイバー感と邪神感の融合。


 矛盾を包み込んだ神の色。

 強欲な異彩。

 冒涜的な烈血のカルマ。

 いと美しきオーロラの命脈。


 空気の読めない『涜神(とくしん)な烈日』のように荒々しく、

 けれど、中核には、『尊希を孕む天日』のような気品を備えている。


「俺の全部を伝える。俺の背中を道標として、己の未来を描き切れ」


「……無茶をおっしゃる」


 そう言いながらも、

 バンプティは、武を構えた。

 折れることなく、

 堂々と、


 その様を見たセンは満足そうにうなずいて、


「行くぞ、バンプティ、お前の概念を殺してやる」


 宣戦布告をしてから、

 グワっと足を上げて、

 虚空に回転蹴りを決め込んだ。


 攻撃ではない。

 本気で戦う時のルーティン。



「――裏閃流秘奥義、閃舞千本桜――」



 宣言の直後、

 バンプティは、1000人のセンに囲まれていた。


 その凄まじい光景を見て、

 バンプティは、ゴクっと息をのみ、


「なんと……荘厳な……」



「「「「「「「息を呑むのがはやすぎるぜ、バンプティ。

 『俺の時間』は、まだ、はじまってすらいねぇ」」」」」」」



「っ?」


「「「「「「「――裏閃流覇奥義、閃統空羅(せんとうくうら)――」」」」」」」


 カっと、深い輝きに包まれて、

 荘厳な力場が生成された。


 無数のジオメトリが圧縮されて、あまたの線が、立体の点になった。


 輝きは、いつしか収束し、

 気づいた時、

 そこには、

 淡い光に包まれた『孤高の王』が立っていた。


「言っておくが、まだ息を呑むなよ。まだまだ、まだまだ、ここからだ。俺が積んできた200億1万年は、この程度で終わるほど『正常』じゃねぇ」


 そう言うと、

 センは、

 胸の前で、両手の印を結び、


「――裏閃流究極真奥義、

    クレヨン閃ちゃんシリーズ、

       超景戯画トリビュート、

           セン帝国の逆襲――」


 詠唱の直後、

 センの全身が、

 『重厚な光』に包まれた。


 間違いなく美しいのだけれど、

 どこか、満身創痍といった感じの、

 精緻(せいち)さや洒脱(しゃだつ)さからはかけ離れた、

 どこか、みすぼらしい、

 けれど、震えるほど超然とした光。

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