コスモゾーン・レリックをこの目で見てみたい。だから、全身全霊でかかってこい。

コスモゾーン・レリックをこの目で見てみたい。だから、全身全霊でかかってこい。


 歯をむき出しにしているアダム、シューリ、平熱マンの三人を相手に、

 汗一つかくことなく、優雅に、華麗に、

 ――究極超神センエースは、空間の全方位に残影を刻んでいた。


 その光景を見たカティは、

 思わず、


「……美しい……」


 と、心からの感嘆をこぼす。


 ――あまりの美しさに、一瞬、呆けてしまったが、

 カティたちは、すぐに、片膝をついて、こうべをたれる。

 神前の礼をつくし、

 心の中で、丁寧に、心をこめて、『リラ』を唱える。


 そんな時間が二秒ほど経った時、

 センは、彼女たちに視線を送ることなく、




「――バロール、前へ」




 命令を受けると、

 バロールは、


「はっ!」


 腹の底から声を出す。

 わずかも非礼に穢れぬよう、徹底して注意をはらい、

 その歩を、しっかりと、前へ進める。


 距離がある程度縮まったところで、

 神が口を開く。


「アダム、平、下がれ」


 命じられると、

 二人は、スッっと息を整えて、うやうやしい態度でセンと距離をとる。


 最後に、センは、少しだけ表情を整えて、

 シューリに視線を向けて、


「シューリ……コスモゾーン・レリックを体験してみたいから、少し待っていてくれないか」


「しょうがないでちゅねぇ」


 そう言って、シューリも下がったところで、


 センは、バロールに視線を送る。

 鋭い視線。

 この世のすべてを見通しているかのようなゴッドアイ。


 神の視線を受けて、

 バロールの全身に緊張が走った。


 すでに、ここ数日で、何度か近い距離で顔を合わせているのだが、

 しかし、いつまでたっても、『神の威光』に慣れることはない。


 神はあまりにも尊すぎる。

 存在があまりにも遠すぎる。




「Cレリックの回収と掌握……大儀であった」




 『ゼノリカ(すべてをつつみこむ光)の旋律』に触れたことで、

 バロールの全身が、鋭い歓喜に貫かれる。

 ビリビリと脳が甘くしびれる。

 心がカァっと熱くなり、

 視界がチラチラとボヤけた。


「も、もったいない御言葉でございます!」


 緊張のあまり噛みつつも、

 しかし、キッチリと、敬愛を叫ぶ。


 そんなバロールに、

 神は、超然とした態度で、


「すでに、あらかた詳細は聞いている。なかなか良質なアイテムらしいじゃないか。その『程度』を自分の目でも確認したい。というわけで……」


 そこで、ゆったりと、

 両手で小さな弧を描きながら、

 軽やかに『武』を構えて、


「余力を残すことなく、全身全霊で……かかってこい」


 命令を受けると、

 バロールは、一度背筋をピンと伸ばして、


「かっ、かしこまりましたぁっっ!!」


 喉を潰さんばかりの勢いで返事をすると、

 自分の『中』から、シアエガ(斧)を召喚する。


 その圧倒的なスペックは、バロールの魂魄を底上げしてくれる。

 一回り以上の規模で存在値が膨らんだバロールを見て、


(……ほう)


 神は一度嘆息した。

 ハッキリと数値が見えるワケではないが、

 雰囲気で、なんとなく、

 『大きくなった』という事はわかるので、


(……いいねぇ……)


 軽く唇を舐めながら、

 バロールのパワーアップを賞賛する。



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