言っただろう? 私は――

言っただろう? 私は――


「あたしの命も、想いも、『全部』を賭して……必ず、この想いを届けてみせる」


 そう、宣言したところで、

 ミシャ(業)の中にいるアダムが、


 ――いいのか?


 そう、声をかけてきた。


「問題ない……あたしは、ただの『業』……散っても、本体のコアに還るだけ。多くの『想い』を背負い超神に至った『今のミシャ』なら、『あたし』をうまく使えるだろう」


 その言葉を受けて、

 ミシャ(業)の中にいるシューリが、


 ――しかし、あんたという『我(が)』は消えまちゅよね?


 その言葉に対し、

 ミシャ(業)は言いきる。


「それは勘違い。本体の中にも、『あたし』はいる……『好きなあたし』じゃないから、おさえこんでいるだけ……きっと、あたしが賭した想いと命は、センエースを奪い返すことで昇華され、本体を、より強く輝かせる器となる」


 ――そうでちゅか。

 ――なら……好きにしろ。


 おだやかな会話だった。

 清々しさの中で、

 温かな火が揺らぐ。



「コスモゾーンよ……次の一撃だけでいい。最後の一発。ソレで、『このあたし』は終わっていいから……だから……絶対に……あたしの想いを、センエースに届かせろ」



 迷いなく絶死を積んで、

 ミシャ(業)は、飛んだ。


 その小さな拳に、

 『想い』の全てをぶちこんで、

 そして!!



「想っている……あんたを、この世の誰よりも……どんな愛よりも、強く、深く」



 言葉を象(かたち)にして、

 『深き想いという海』の『底』で一つに統合して整理して、そして、


 ――叩きこ……



 ――もうとして、

 ――が、直前で、




「ナメんじゃねぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」




 バリィイインッッ!

 と、砕け散る音がして、

 P型センキーを縛っていた『真紅と翡翠と金紫の鎖』が砕けた。


「てめぇらの想いが『どの程度のものか』は知らんし、前提、毛ほども興味ねぇがぁ! 少なくとも、この俺を最後まで止められるほどじゃねぇ!」


 自由になると同時、

 P型センキーは、ミシャ(業)にカウンターをいれようと、

 拳にオーラを込めて、


「安い、安い、安いぃいい! 死んでろ、カス――っっ?!!」


 ぶちこみ返そうとした――

 その『清浄(せいじょう)を下回る僅かな時間』に、

 P型センキーの背後で、

 砕けた『真紅と翡翠と金紫の鎖』が強く輝いた。


 その光は、寄り集まって、

 ――『ブタの着ぐるみを着たセンエース』となった。




 ――裏閃流究極真奥義『クレヨン閃ちゃんシリーズ』――

 ――超景戯画トリビュート・センのヒヅメ大作戦――




 センが、最後の最後に遺した憧憬(どうけい)。

 世界に遺した傷跡の一つ。

 センダーランドで『条件』を満たしてから使うと、消費オーラを大幅に節約できる。

 よって、基本的には、コンボで使うこの絶技。


 『彼』だって、センの心を震わせた『救いのヒーロー』!

 だから、当然、一発ギャグをかましてボコられて終わりじゃない!!


 『想いの込められた鎖』を媒体として、

 形を成した『モンジンざえもん』は、

 P型センキーをガッチリと羽交い絞めにする。

 おそろしく強力な腕力。

 『執念』が込められていると、一瞬で理解できる強大なパワー。


「ぶ、ぶたぁあああ! てめぇ! なにして――」






「言っただろう。私は常に強い者の味方だと」






「強者は俺だぁ! てめぇが味方すべきは俺――」


「いや、ミシャ(業)の方が強いよ」

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