因果をナメるなよ、P型センキー。

因果をナメるなよ、P型センキー。



『――大いなる神よ。尊き主よ。命の王よ。私はあなた様の敬虔な使徒。だから、当然、私も……あなた様にならいましょう。最後の最後まで、絶対にあきらめない。その意思を貫きましょう。……リラ・リラ・ゼノリカ……』



 遺志は強き圧となって、世界に訴えかける。

 世界は情で動かない。

 しかし、時折、気分で動く。

 だから――というワケでも、実際のところは、ないのだけれど、

 しかし、やはりというか、なんというか、


 コスモゾーンは、当然のように、『ピーツたちの想い』を面白がった。


 執念が世界に残した傷跡――因果のアリア・ギアス。

 いつだってそう。

 へそ曲がりなコスモゾーンは、定石を無視して事象を転がしていく。

 ……だから、







 ――許可しない――







 拒否をくらったP型センキーは、

 こめかみに重たい汗をにじませながら、


「くっ……最悪だ……あのクソカスども……完全に消しておくべきだった……」


 後悔の念にさいなまれながらも、


「……無意味なリキャストの強制……くそったれ……しばらく『おしくらまんじゅう』は使えない……では、ほかの……いや、おそらく、この状況では、他のどんな禁止魔カードも使えない。あいつらが残した執念は、確実に、『俺の行動そのもの』に対するいやがらせ……く、くぅうう……コスモゾーンのくそったれが……気分で動きやがってぇ……くぅぅ……な、なにか……起死回生の一手を……」


 逆転の目を探しているP型センキーに可能性の猶予(ゆうよ)を与えるほど、

 ミシャ(業)は甘くない。


「因果をナメるなよ、クソ野郎」


 『ピーツたちの執念』にからめとられているP型センキーに対し、

 誰よりも『因果の重さ』を知るミシャ(業)は、冷たい声で、


「それと、あたしの想いもナメすぎだ、P型センキー。あたしだって、腐るほど、絶望を背負ってきた。高く評価しろとは言わないけれど……流石に、お前は、あたしを過小評価しすぎ」


「……はっ。ちょっと小ジャレた呪縛が使えるだけのカスが、なに嬉しそうに吠えてんだ。アダム&シューリのコアと融合したことで、存在値は、小マシになったが、しかし、それがどうした? この、ちょっと鬱陶しいだけの鎖を引き千切ってしまえば、あとは、俺にワンパンされて終了のカスが。現状、結局、俺が絶対有利ってシチュエーションに変わりはねぇんだよ、ぼけ」


「その『ちょっと鬱陶しいだけの鎖』は、『哀れな残滓たち』と『あたしたち三人の想い』を背負っている。だから、まだ、もう少しだけ粘ってくれる。その間に、センエースを奪い返す。それで、お前は終了だ」


「センエースが来てくれれば、それでオールオッケーだった時代はとっくに終わってんだよ。俺はP型センキー。『あいつの精神力』と、『あいつを超えたソンキー』と『あいつが気合を込めて育て上げた最強の携帯ドラゴン』を合わせ持つ、絶対無敵の神。俺は、あいつより強い」


「センエースより強いていどのザコに……『あたしの男』は負けない」


 そう言い切ると、

 ミシャ(業)は、ソっと胸に手をあてて、



「あたしの命も、想いも、『全部』を賭して……必ず、この想いを届けてみせる」




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