虹宮は、
虹宮は、
「終焉はここからだ。数えろよ、絶望……深く堕ちていけ……それだけが俺の渇望……俺を満たす陰(かげ)」
爆発的に存在値を上げたネオバグは、
「さあ、貴様らの『絶望』は何色だ」
空間を駆けぬけていく。
黒く光ったかと思った――その直後には、重たい塊となって、
「がっはあああああ!!」
虹宮の脊椎に重度の圧力をかけていた。
メキメキと軋む。
全身を貫く激痛に包まれて、虹宮の意識が飛びそうになる。
気絶しそうになったが、ギリギリのところで耐えた。
耐えられた理由は一つ、
「ぐぬぅうう! こんなもの――神様の圧力に比べればぁあああ!」
もっと『上』を知っていたから。
とてつもなく深い、狂気的な輝きの結晶。
『比類なき最果て』を、虹宮は知っている。
だから、折れずにいられた。
「どうしたぁあ! 来いよぉおお! おれはまだ! 終わっていないぞ!!」
神の傀儡(くぐつ)となった過去が、虹宮の今を支えている。
『神に抗った』という事実が、虹宮の魂を支えている。
これは、ある種の信仰。
『神に逆らえた自分』という超自己肯定的な『神』が、虹宮の信仰対象。
芽生えた自覚が、虹宮の魂魄に意識の革命を起こした。
『あれほどの神様に抗う事ができた自分に、出来ない事などあるがずがない』というヒリつくような自信。
高位の自信は本物のプライドとなって、虹宮の魂を縛り付ける。
これは呪い。
『諦め方を忘れる』という、高次の呪縛。
――折れることなく抗い続けてくる虹宮に、
ネオバグは、不愉快そうな顔を向けて言う。
「その不快な瞳……俺に『誰か』を思い出させる……俺の魂魄に刻み込まれている誰かを――遠い、遠い、かつて……俺を砕いた何か……」
ネオバグの感情が、グツグツと燃え上がる。
「思い出せない……が……しかし、どうやら、俺は知っているようだ……貴様を支えている何か……その鬱陶しい誰かを……ぁあ……不快だ……たまらなく不快だ……」
ネオバグは、虹宮を睨みつけ、
「俺の全てが喚(わめ)いている。貴様を……貴様らを絶対に終わらせろと」
オーラが充満していく。
ネオバグの『巨大なだけでカラッポの器』に、少しだけ熱が注がれる。
「これは、心を摘む闘い……俺は、ためされている。貴様らの心を殺せるか否か……貴様らの心を殺した先に、俺の道が待っている」
「さっきから――っつぅか、最初からずっと、わけの分からない事をほざきやがって! くるなら、こいよ! おれはまだまだいけるぞ! 神様を知っている俺は、お前ごときに折れたりはしない! あの『果てしなさ』は、お前ごときの比じゃなかった! お前なんか、足下にも及んでいない! だから、つまり、これは、お前が死ぬまで終わらない闘い! さあ、身を投じる覚悟はできたか?! おれはできてる!!」
虹宮の拳が加速する。
虹宮の存在感が、どんどん増していく。
そんな虹宮を見て、
「影が濃くなっていく……貴様は危険だ。ここで殺しておく必要がある」
「やってみろ! 神様を知るおれは! そう簡単に折れはしない!」
虹宮はまだまだ膨れ上がっていく。
虹宮は止まらない。
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