その意味がわかるな?

その意味がわかるな?


「俺は……不可避の歪み……コスモゾーンを……喰らいつくすもの……コスモの影、コスモのひずみ、コスモの闇、コスモの――俺は、コスモの……あ、あぁ……きぃぇえええええええええええ!!」


 ブツブツ言っていたかと思うと、急に奇声を発しだして、

 そして、唐突に襲いかかってきた。



味崎「は、速ぇええええ?!」

岡葉「ぐふっ! や、やばい! めちゃくちゃなパワー……」


 抵抗むなしく、バンバン吹っ飛ばされていく神話狩りの面々。

 ネオバグの強大な力を前に、

 唯一対抗できたのは、




虹宮「確かに強い! けれど! 神様ほどじゃない!!」




 ネオバグの凄まじい攻撃を紙一重でよけながら、踏み込んで、拳をたたきつけた虹宮。

 ネオバグは、一瞬だけフラついたが、


「っ……ぉ、お前一人だけだな……まともに動けるのは……」


 ギラっと、視線を虹宮にロックオンして、


「貴様からは、かすかに、『神の力』を感じる……おそらくだが、貴様、神の傀儡(くぐつ)になった経験があるな?」


「……恥ずかしながら」


「やはり……この波動……凄まじく強大な神の影……確実に相当上位の闘神……」


 虹宮は、神のマリオネットになったことで、『ソンキーの手ほどきを受けたトウシ』のように、『体の使い方』を知った。

 もちろん、トウシほどの高次理解に達した訳ではないが、

 しかし、虹宮もバカではなく、むしろ天才に入る部類なので、

 神にガッツリと体を乗っ取られたことで、『自分』の体を理解する事には成功した。


「だが、しょせんは、『影』を感じる程度。貴様は、まだまだ人の領域から抜け出せていない……そして、戦闘力はそこそこでも、殻(から)の――『ハード』のスペックが低すぎる。貴様じゃ俺には勝てない。その証拠を見せてやろう」


 そこで、ネオバグの速度が、さらに一段階加速した。

 その威圧感だけで、周囲の重力がグンと増した気がした。


「ぐっ! くそ!」


 なんとか抵抗するが、次第に押されていく虹宮。


「ははは! 必死だな! 言っておくが、俺は、まだ全力ではないぞ」


「……っ?!」


「俺は、ここから、あと二段階ほどギアを上げる事ができる! その意味がわかるな?」


岡葉「ぇ……」

味崎「ウソだろ……おい……」

雷堂「まさかのフリーザ様タイプ……」

ツカム「ちょっ、誰か、『スーパー地球人』のトウシくんを呼んできてください!」

ホウマ「ぴよぴよ(呼んでこられたら苦労してないわよ)」


 おののいている神話狩りの面々の向こうで、ネオバグは、



「これが、その証拠だ――ニルヴァーナ・コア、起動!!」



 容赦なく、一段階目のギアを発動させた。

 胸部に付着している『カラータイマー的な何か』が、煌々と輝きだす。

 と同時に、凶悪化する、ネオバグの覇気。

 一回り、大きくなったようにすら感じた。


「ど、どうやら、ハッタリじゃなく、ガチだったらしいね……」

「ただでさえエグかった威圧感が増して……め、めちゃくちゃな事になっているんですけど……」

「……詰んだ……」



「終焉はここからだ。数えろよ、絶望……深く堕ちていけ……それだけが俺の渇望……俺を満たす陰(かげ)」


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