加速するP型センエース1号。

加速するP型センエース1号。



「掴めてきたぞ、神闘……原理が見えてきた……」


 ふいに、ボソっと、そんな事を呟いたP型センエース1号。

 その発言に対し、

 シューリは、思わず普通にムっとして、


「……ふざけたこと言わないでもらいたいでちゅねぇ……こんな短時間で神闘が理解できるワケ――」


「俺を常識ではかるんじゃねぇ。俺に限っては常に最悪を想定しろ。俺は、常に、その最悪の向こう側にいる」


 ここまでは、『それなりに強い者』と闘ってきたから、

 P型センエース1号の成長速度も『それなり』だった。


 九華十傑も、五聖命王も、三至天帝も、決して弱者ではない。

 みな、確かな強さを誇っている――が、

 しかし、所詮は、まだまだ発展途上の蕾。


 『天上の面々から学べた武』は『現闘の限界点付近』までが精々。


 この先、ゼノリカは、徐々に神闘を理解していくだろうし、

 その時のゼノリカは恐ろしく強大になっているだろうが、

 今のゼノリカは、まだまだ『究極集団』とは言い切れない苗木。


 それと比べ、シューリは巨大な大木。

 最強神センエースが、『己の師』だと認める、神闘の極意を知る女神。



 シューリ・スピリット・アースは、圧倒的な力を持つ女神。

 ゆえに!

 P型センエースは、『圧倒的な速度』で強くなれる。



「神闘に対する理解――この『気付き』は、俺を強く推動させるだろう。ここから、俺は、加速度的に強くなる。お前を超える『臨界点』は、そう遠くない!」



 その言葉はただのハッタリではなかった。

 P型センエース1号は、そこから、恐るべき速度で強くなっていく。

 そんな、『本当に神闘を理解しはじめてきたP型センエース1号』を見て、

 シューリは少し焦り、


「た、確かに、異常な成長速度でちゅねぇ……けど、オイちゃんを殺せるレベルにはなりきれていまちぇん。そして、あんたが、その領域にまで辿りつく事はありまちぇん。その前に……必ず殺しつくしてみせまちゅっ」


 シューリは加速した。

 P型センエース1号を殺しつくそうと、

 そこから、ずっと、最善を尽くした。


 けれど、


(……ま、まずい……追いつかれる……っ)


「おい、シューリ! それ、もう本気だろ! ははは! どうだ! まだ俺の方が弱いが、しかし、もう、すでに、俺はお前の本気を引き出した! そろそろだ! そろそろ俺はお前を超えるぞ!」


「……っ」


 シューリは間違わなかった。

 何一つミスは犯さなかった。

 ――延々に、どこまでも、際限なく、最善手を打ち続けたシューリ。


 ついには、


「っ……究極超神化5!!」


 最高最大最強の切札を投入する。

 極限まで磨き上げられた神髄を見せる。


 アダムとの訓練で、発動までの時間短縮に成功した究極超神化5。

 性能も強化されており、今のシューリは、以前よりもはるかに強い。


 まだ、『究極超神化6』は使えないが、その背中は見えてきている!


 そんな、シューリの本気を目の当たりにして、

 P型センエース1号は、


「ああ! お前の強さを前にして、俺は絶望している! なんという高み! 見あげてしまう! だが、だからこそ湧き上がってくる! いまだに! むしろ、強く輝く! 見ろ、シューリ! これこそがセンエースだ! そうだろう!」


 心底からイラっとした顔をするシューリ。

 彼女がブチ切れるよりもはやく、

 シューリの視界に、アダムが割り込んできた。



「貴様、あまりにも不快が過ぎるぞ……」



 アダムに、ガツンと後頭部を殴られ、P型センエース1号の首は炸裂した。

 完全な死!

 だが、すぐさま無限転生が発動!


 蘇ったP型センエース1号は、


「ここから2対1か? かまわねぇよ! 全部、のみこんでやらぁあ!」


 強大なオーラを放っているシューリとアダム、その両方を睨みつけて叫んだ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る