無限転生。
無限転生。
3回目の転生で、センは、いろいろあって、
『人も魔もすべる究極の大魔王』となった。
天も地も、人も魔も関係なく、すべてを支配する絶対の魔王。
そんな絶対の魔王も、
寿命には勝てず、
またポックリと逝ってしまった。
(魔人になるっていう変化球もきたことだし……さすがに、俺の転生人生も終わりかなぁ……)
と思っていたが、
しかし、まだ終わらなかった。
『センの旅』は、終わることをしらない極悪な『無限転生』。
偉大なる命の王『センエース』の旅は、まだまだ、はじまってすらいない。
センは、その後も、終わることのない転生を繰り返した。
何度も、何度も、何度も、
――そして、『8回目』の転生で、
センは、『第二アルファ』と呼ばれる、実質『全世界最強の究極世界』に転生した。
※ 世界は無数にあって、それらには『序列』がある。
一番上が『第一アルファ』。
センの原初故郷。
転生する前に『センが高校生をやっていたあの世界』こそが、実は、序列的に最強。
センの故郷『第一アルファ』は間違いなく『最高の生命体』が生まれる世界だが、
しかし、魔法は使えないし、レベルを上げることは出来ないし――
と、いろいろと不備があるので、
実際に『最強の生命体』が『存在する』のは、この『第二アルファ』。
「まさか、余に挑むバカがいるとは……小僧、正気か?」
実質最強の世界『第二アルファ』でもとびぬけて最強の存在。
それが、超魔王ゾメガ・オルゴレアム。
『ダイの大〇険』のラスボス的な風格のある最強魔王。
「すげぇな、爺さん……いままで、強いヤツを山ほど見てきたが……あんたはぶっちぎりで最強だ」
「当たり前のこと……余は最強の魔王。すべての頂点に立つ世界の王」
「ああ、間違いねぇ。だからこそ、ひけねぇ。あんたを超えた先に、きっと、カンストへと届いた俺がいる。きっと、俺は……あんたを超えるために、今日まで生きてきたんだ」
8回にも及ぶ転生で、センは圧倒的に強くなっていた。
ほかの世界では、誰を相手にしても無双できる究極の力。
だから、ゾメガに会うまで、センは『自分が全世界最強だ』と思っていた。
しかし、上には上がいた。
それがたまらなく嬉しくて、センは笑った。
「強ぇなぁ……ゾメガ……ほんと、あんたは最強だ」
「そう。余は最強……間違いなく世界最強……なのに……なぜじゃ……なぜ、余は冷や汗をかいておる……この焦燥はなんじゃ……」
「きっと、弱さを知らないからだろ」
「?」
「俺は知っている。何者でもなかった時期を……弱者だった時期を……ただひたすらに、果てを目指した時期を俺は知っている。だから、俺は、あんたを前にした今も、こうしてまっすぐに前を向いていられる。……けれど、お前には、きっとそれがない。あんたは、生まれた時から最強だったから」
「それはぬしも同じこと。余が現存したゆえ『最強ではなかった』が、ぬしも、最高クラスの存在値をもって生まれてきたと聞いている」
「今回は、な。けど、最初のころはひどかった。最初に生まれた世界では存在値一桁の虫ケラだった」
「? 最初に生まれた世界? それはどういう意味じゃ?」
「気にするな。……まあ、とにかく、あんたは、弱さを知らない。だから、あんたは、今、『不明瞭な焦燥』を感じているんだ。『敗北を知る必要』はないが、『弱さ』は知っておく必要がある。はっきりわかんだね」
「意味のない言葉をゴチャゴチャと……もうよい! いい加減、倒れよ。エニグマ・ミーティア!!」
焦ったゾメガは、『前提』を詰め切ることなく、
ブッパで『最強の必殺技』を放った。
無数の巨大な魔銃を召喚し、一斉に発射する究極奥義。
その超火力を前に、
センは、
「虫ケラを経て、王を経て、教師を経て……ありとあらゆる『全ての弱さ』を飲み込んできた『俺の全部』で、あんたを超える!! くらえやぁああ!! 龍閃崩拳(りゅうせんぽんけん)!!」
ぶつかりあった強大な力。
センは、文句なし世界最強の超魔王と闘い。
エネルギーとエネルギーが暴走して、
拡散して、
そして、いつしか収束していった。
チリチリと、
粒子が宙を舞い、
空が晴れた時、
「はぁ……はぁ……超えたぞ……ついに……俺が……最強だ。文句ねぇな」
その戦場には、センだけが立っていた。
――センは、最強を超えたのだ。
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