気持ちを置くだけ

黒田寛実

第1話


風が窓を打つ

カタカタ音は

何かの前触れ?

部屋にふたり

そわそわ男

もくもく女 

男が開く

口を

沈黙を

心が開く

「あなたが好きです」

ぽんと置く「好き」

「それで?」

「それだけです」

箱を置く 

置く

ぽん



(そこは付き合ってくださいとか続かないの?)

(それは必須でしょうか?

考えたんです。好きなのは確かです。

告った後の想像が「ない」です。

でも好きは言いたかった。

好きは置かずにいられなかった。)

(そんな告白、よくわからない。返事もしようがないじゃない。)

(ああ、確かにとんでもないことをした!これでしばらく話せない。いまさらになって恥ずかしい。帰ります。)

(ちょ、ちょっと。)



バタン

扉は閉ざされた

残った箱さん、な・あ・に?

純情?拗らせ?中二病?


牡の臭い?

恋の香り?

概念のにおい?

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気持ちを置くだけ 黒田寛実 @otoronenayu

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