雨と私と猫

ミィヤギ

雨と猫と私

私は1人、夜の街に躍り出た。

とくに理由はなく、ただ夜風を受けたいだけで、どこに行こうかは決まってない。

ただ、歩き、歩き、歩き続け、街を巡る。

シャッターが降りた商店街。

明かりがついてない小学校。

風に揺れるブランコがある公園。

そうして、流れに流れて、今にここ。

鳥居を潜り、石畳の上を通り、神社の前。

賽銭箱に銭を投げ入れ、明日の幸をお祈りする。

ここ最近不幸なことが多くて、すこし神頼みもしてみたいところだ。

すこしでも、すこしでも明日がいい事ありますようにと願っていると、ポツポツと音が鳴る。

それは自然とどんどん大きくなり私に危機が迫っていることを示す。

不味い、雨が降ってくる。

神様に不敬かもしれないけど神社の軒下に隠れさせてもらうことにする。

ポツリポツリと始まった雨。

はぁ、なんて不運だ……と見てながら思う。

傘も無いため、ここで長く時を使うしか無いのだろうか……

そう思いながら携帯の時間を見ると午後の11時40分であることを確認。

かなり長い時間外に居たなと、そう今になり感じる。

眠気も襲ってきてそろそろ帰りたいと思う。

ザーザー雨になってきた雨は止む気配を見せない。

はぁ……とため息を零す。それと同時に鳴き声が。

横を見るとそこには1匹の猫が。

すこし間に合わなかったのか、白色の毛が濡れており、ブルブルと体を震わせ雫を飛ばす。

この子も私と同じようにここに雨宿りに来たのか、軒下に来て丸まった。

……まるで私のように感じる。

この広い広い社会で、一人ぼっちで生きていく私のように感じる。

この白猫に取ってはもっと広い世界だろう。

つまり彼はこの広い、そして辛い世界を生き抜いているのだ。

暫定でしか無いけれども。

ミャーと、また鳴き声が。

今度もまた猫が、三毛猫が1匹来た。

その猫は同じように体を震わせて、軒下に来る。

さすれば先に居た白猫の存在に気がつかないことは無く、白猫の存在に気が付き。警戒の音を上げる。

白猫はそれを気にすることなく、1人静かに地面の上で丸まっている。

これは……これは私と彼の大きな違いがここに出た。

彼は来るもの拒まず……なのだろうか、彼女の存在を否定することなくそのままで居させている。

そうして彼女は彼に敵意が無いがわかったのか、警戒の音を辞め、1人別の方で転がった。

私はどうだろうか……

私は人は拒んでいる。その所持か、コミュニケーションは得意ではなく、いきなりやってきた人の存在を否定し、私だけの世界を作ってしまうのだ。

あぁ、多分不幸が続くのはここに問題があるのかもしれない。

私が、みんなに私を示さないで。協力もロクにせずにどうやって幸せを掴もうと言うのだ。

……ひとつ悩みが解決したかもしれない。

そう思い、私は明日からの私を変えようと思ったころ。

パサリパサリと落ちてた雨が止んだ。

通り雨だったのだろうか、意外と早く終わったなと思いつつ携帯の電源を付け、時間を確認。

時刻は午前の1時13分。1時間近くもここに居たのか……

本当、時間が過ぎるのは早く感じる。

さて……

では帰るとしよう。

明日は……いや、今日がいい日になるように願うのではなく、いい日に出来るように、1つ、変えて行こう。

そうこの神社で強く思い、今日に希望を乗せ、帰路についた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

雨と私と猫 ミィヤギ @Nesty_2616

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る