第4話 ストレスが生んだストレス。
1時限目、数学。おもに前単元の復習だった。とても面白かったです。
2時限目.....。
はぁ、放課後。
現実逃避もほどほどにして、呼ばれた屋上へ続く階段へと向かう。
この高校は屋上立ち入り禁止。アニメや漫画みたいに勝手に出入りはできない。
なので、そこへ続く階段に集まる。人がいないからだ。
「──あっ!ちゃんといたっ!」
きやがった。黒瀬千帆が。
「で!昨日のことなんだけど“大丈夫”ってどういう事なの?」
「俺からも言わせてもらう、なんでそんな元気なんだ?」
答えるという事がなく質問が飛び交う。
「なんか.....辛そうだったから.....」
と俺が少し誤魔化し気味で先に言う。
「辛そうだったら誰でも声かけるの?」
「うっ.....うむ」
変な肯定をして、目をそらす。
「ふーーん」
明らかに動揺してしまった。
「で?本当は?」
「近い、近い」
そのストレスの濃さに驚き、同時に彼女の可愛さに少し照れてしまう。
照れてしまう.....?
初めての感情かもしれない?なぜだ?
自問自答をして、向き直す。
「で?」
今度は、少し強めに聞いてくる。
俺は瞬時に「これは誤魔化せない」と思い、ストレスについて言うことに。
「──俺は、お前が辛いことを知っている。お前がどんなに1人で悩んでいるか、もしかしたらお前より知っている」
「え?どういうこと?」
動揺している。
「俺にはな──お前のストレスが見える」
「え?」
ごもっともな反応ですよねぇー。
夢斗の時はそんな驚かれなかったけど(多分眠たくてそんなガチで聞いてなかった)、普通の人は頭がおかしい人とか思うだろう。
「親のこと。妹のこと。事故のこと。病気のこと。お金のこと」
近づいて見えたストレスの中からいくつか、発言する。
そこで、俺は改めてこいつに、黒瀬千帆という1人の女の子に関心を持った。
そして、心からのつぶやきが喉からもれる。
「──大変.....だったんだな」
あ、俺は口をおさえる。心の声を言ってしまうなんてらしくないな.....。
「!?」
黒瀬千帆は初めてあった時のように涙をたらした。さっきまでの強く元気な女の子とは人が変わったかのように大量の涙を床に落とす。
一瞬その行動に驚くが、俺は真面目に向き合い本心を話す。
「俺さ、お前のストレスの量見たことなかったんだ。あまりにも少女には持つ物が重すぎるって感じて声をかけたんだと思う」
だが、俺は自分の発言を否定する。
「いや、もしかしたらお前の助けになりたいってただ思っただけかもしれない」
「いや.....」
それも否定する。
「──惚れてしまったんだと思う」
はっきりと目の前の少女にそう言う。
半分何を言っているんだと感じながらも声に出してしまってはもう遅い。
「もうどうなってもいいや」そんな気持ちで口調を強くして続ける。
「そのストレスの量を抱えながらも誰にも相談せず、周りに迷惑や心配をかけたくないという思いを溜め込みさらにストレスが大きくなった」
見えるストレスから言葉をつなげる。
──そんなお前の.....
「──そんなお前の、優しさに惚れたんだ」
彼女のストレスが多いのは、1つのストレスからさらに、ストレスをよびおこしたのだ。
「少しでも、お前を助けさせてくれないか?そんな、笑顔じゃなくてさ!!本当の笑顔で笑えるようにしてやるから!!」
こいつが作っていた、今にも押しつぶされそうな笑顔を否定して俺は手を差し伸べる。
少女は、黒瀬千帆は、手で目をこすっている。袖も涙で濡れていた。
「だから俺に、──助けさせろ」
こんなキャラじゃないことは自覚している。
つい、自分の感情がでてしまう。
言ってやった。言ってしまった。
全部こいつのせいだ。こいつのせいで俺は変わってしまった。
──あぁ、それもいいな。初めて感情を出した気がする。
「──あ」
黒瀬千帆は下を向いたまま.....、
「ん?」
「──ありがとう」
そして、顔を前に向け、
涙を流したまま笑顔で俺に感謝をする。
「なんだよ.....」
──ちゃんと、笑えるんじゃねーか
心の中で思い、俺も答える。
「おう!」
──笑った彼女はとても美しかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます