第2話 多くて大きくて、濃い。
「え.....?なんですか?」
泣きそうな顔から変わり、驚いたような顔でそう問う。
近くに行くと改めて分かるが、ストレスが読めない。大きすぎる文字が多すぎる。
「いやっ.....あのっ.....」
急に声をかけてしまったものの、何を言えばいいか分からない。
初めての事に動揺が隠しきれず体が勝手に動いてしまった。
「──大丈夫.....ですか?」
「え?」
もっともな反応だ。
相手からすると急に知らない人が声をかけてきて「大丈夫ですか?」だからな。
相手の瞳から涙がたれる。
「ぁぁ.....」
頬をつたい顎の辺りまで落ちたところで少女は顔を
同じ制服だったから同じ高校だろう。髪は短髪でボサボサ。小柄な少女だった。
「あんなストレスのやつが同じ高校にいたのかよ.....」
俺はそうこぼす。今は高校2年生。転校生は聞かないし、入学した時にはいなかったと思う。いたら完全に分かる。
.....というか、何年生だ?あれ?普通に考えて1つ下だが、同学年もありえる.....。
「振られたねぇ~」
「ッ!」
急に後ろから声が聞こえて体がビクついた。
「女の子を泣かせちゃダメだよー、陽町ぃ」
「おい、夢斗!あの子のストレスはやばい。マジでやばい!」
語彙力が飛んで行った。もしかしたらもう飛んでいたのかもしれないが。
「んー?なんて書いてあったの?」
首を傾げ、キョトンとしている。女子か、お前は。
「それが見えねぇんだ。大きすぎて、多すぎて。初めて見たぞ、あんなの」
「へー.....不思議なこともあるんだね。それで、陽町はあの子をどうするつもりだったの?」
そうだ、俺はあのストレス少女に声をかけてどうするつもりだったんだ。
自分にそう問う。
「んー、どうなんだろう?」
「なんだよそれー?まぁ、同じ高校ぽかったし、また会えるでしょー」
別に会いたいわけじゃねぇんだがな.....。
「とりあえず見えるからには気になる!少し探してみることにするよ」
俺の謎理論。
『見えるからには気になる』
ストレスが見えてしまうからその人が気になってしまう。
どんなことをしているのか?
どうしてこんなストレスを持っているのか?
など!
別にやましい意味は無いけどね。
「──うん。そうだね、じゃぁ、帰ろっか?眠くなってきたし.....」
そう言って夢斗はあくびをする。
「相変わらずだな、お前は。」
そう言って少しのつっかえを抱えながら、2人でいつもの帰宅をした。
「はぁー.....大変になりそうだ」
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