第33話 過去 終
過去編さっさと終わらせたほうがいいかと思ったので書きました。以降は本当に週末まで投稿しないと思います。(嘘つきな作者で申し訳ない)
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「ファイアーストーム。」
リンの放った魔法が一気にモンスターを焼き尽くす。だが――。
「ふっ。」
どや顔のリンだが一つ残念なことがあった。
「バカッ。魔力の無駄遣いだ。」
「いたっ。」
時には怒ったり――。
「ユウさん宝箱を発見しましたよ。」
「早く開けましょ。」
「待て、罠を確認しろ。」
「え、今なんて。」
だが俺の忠告は遅くて。
「鉄球が…こっちに来るーー。」
「あわわわわ。」
「おい、早く逃げろ!!。」
俺たちはみんなで全力疾走しながらダンジョンから抜け出した。
「宝箱を発見した時はちゃんと罠を確認しろって言ったよな?」
「すいません。」
宝箱のトラップで死にそうになったり――。
「グオオオオオオオ。」
「俺が相手を引きつけるっ。リンは隙を見て魔法を叩き込め、セリアは補助魔法をかけてくれ。」
「分かりました。」
「了解っ。」
協力して強敵に立ち向かったりした。そして――。
「「「かんぱーい。」」」
各々が手にしたジュースで軽く乾杯をする。
今日はみんなで打ち上げをしていた。なぜなら今日は――。
「ようやくあんたの出した課題が終わったわね。」
「きつかったですー。」
「まぁ、クリアできたしいいんじゃないか?」
ようやく俺が出した最終課題をクリアしたのだ。その内容は第20階層の攻略を二人だけでやるというものだ。俺は一切手を貸さなかった。これで二人も上級者へと一歩近づいた。最初の方なんて問題点が多すぎた。
セリアは案の定初心者でリンに勧められてこのゲームを始めた。あの叙への振動はそこまで問題ではなかった。リンはひどかった。レベルこそ初心者ではなかったものの中途半端にかじった知識が多くてその共生に手を焼かされた。後派手な魔法が好きなためにモンスターのオーバーキルが多すぎた。
「それに関しては感謝してるわよ。ありがと。」
「ほんとにありがとうございました。」
「あぁ、これでお前たちの指導も終わりだしな。」
そうここまでで終わりなのだ。なんやかんやと最初こそ一刻も早く終わらしたかった二人の指導もここまで育つと何だか感慨深かった。
「そ、その良かったら現実の方でも打ち上げしませんか?」
「現実でもねぇ。」
俺がゲームをする理由の一つに現実とは違う目で自分を見てほしいというものがあった。それは現実の俺が周りに差蹴られ気味だったというのがある。ゲームをしている時だけは現実のことを忘れることができたのも大きい。
「俺はいいよ。」
「私はもちろんいいわよ。」
「ならここはどうですか?ここならちょうど…。」
もしかしたらこの二人は、現実の俺も同じように見てくれるのかもしれないそんな淡い期待があったのだろう。俺が簡単にこの話を受けてしまったのは…。
◇◇◇
だが現実は残酷だった。
「は?あんた誰よ。」
「いや、だから俺はユウだって。」
「そんなわけないじゃない。ユウは、あんたみたいな陰気臭い奴なんかと違ってもっとかっこいいわよ。」
「…。」
リンに似たきつい目の子に開幕一番に言われた言葉がそれだ。俺は信じられなかった。ユウは、当時の俺の髪を短くして整えた容姿に髪色と目の色を変えた感じのキャラクターだ。対して現実の俺は長い髪で目が隠れてしまうような奴だった。
明らかに別人と言ってもいい。やろうと思えばユウの見た目に近づけることもできた。だが俺はそれをしなかった。
学校では周りから浮いた俺だ。だが急に容姿を整えだしたら周りはどう思うだろうか?女子からの評価は多少はマシになるかもしれない。だが俺という人物の内面までは変えられない。ただ一つ言えるのが紛れもなくユウは俺自身なのだ。
どうしてなんだ?そんなに見た目が大事なのか?
「早くそこから離れなさいよ。私の友達がおびえてるじゃない。」
俺のそばには一人の少女――セリアがいた。
数分前に俺が待ち合わせ場所に行くとすでにセリアはいた。俺は最初に言われた特徴通りのセリア似の黒髪のおっとりした女の子に話しかけた。最初こそ疑ったりしていたが話をすればちゃんとわかってくれた。
なのに――。
どうしてセリアは、俺のことをかばってくれないんだ?そんなことを口に出せるわけもなく――。
「分かった。」
そう言って俺はセリアから離れた。
「二度とこの子に近づかないでよね。今度は通報してやるんだから。」
「…ごめんなさい。」
一瞬だけこっちを見たセリアは最後に謝ったような気がした。今更もう遅いのに…。
遊ぶ気にもなれず俺はその後すぐに家に帰り、ゲームを封印した。学校では周りから陰キャだ陰キャだ言われた俺だったがゲームだけが心のよりどころだった。
そんなゲームで出会った子でさえも俺のことを見てくれなかった。裏切られたような気がした。いや、彼女たちが見ていたのはユウというキャラクターだけなのだろう。誰も現実の大城雄大という人間を見てはくれなかった。
結局しばらくしたらまたほかのゲームをやりだした。だがセリア達と出会ったあのゲームをやろうとも思えなかった。
この日からなんだろう。
俺が現実とゲームで交わることを明確に恐れるようになったのは…。
そして――。
誰 も 本 当 の 俺 な ん て 見 て く れ や し な い。
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いろいろツッコミたい人がいると思うんですが作者のメンタルがあんまり強くないんでオブラートに包んでいただけると幸いです。話せる範囲でしたら疑問点には答えます。
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