第26話 心臓に悪すぎる
新作:「エルフの少年は凌駕したい」も良ければ見て行ってください
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より一層眩しく、そして肌を焼き焦がさんとする照りつけるような日差し。もはやうっとうしさを超えてあきれるぐらいに永続する夏の風物詩ともいえるセミの鳴き声。ふいてもふいて留まることを知らない汗。日の当たらない場所で家族や友人、あるいは恋人同士で仲良くアイスを食べている人もいた。そんな夏真っ盛りとも呼べるような光景の中、俺は何をしているかと言えば――。
「まだなのか。」
「まだだな。」
目の前に広がるのは、リニューアルされたばかりでどこもかしこもきれいなプールにあふれんばかりの客がいた。
俺と智也は石崎と黒川のことを待っていた。
「なぁ、日陰に行ってもいいか?めちゃくちゃあちぃ。」
今俺たちがいるのは、更衣室からすぐ出たところだ。男性用と女性用の出口が隣同士になっているのでここで待っておけばおのずと二人と合流することができるためにここで待っているというわけなのだがいかんせんひなたなので床があつい。
「その間に出てきたらどうすんだ?あいつらのことだからすぐにでもナンパされるぞ。」
「あー。」
想像してみる。真夏のプールに花の女子高生が二人、そこに男がいない、その上その女子高生はスタイルもいい上に顔も整っているときた。うん、間違いなく速攻でナンパの被害にあうだろう。というより黒川にいたってはどこに行ってもナンパされているような気がする。おそらくそういう星の上に生まれてきてしまったのだろう。
「それにしてもその髪めちゃくちゃ前が見づらくないか?」
「大丈夫だ。問題ない。」
プールに行くにあたって俺には、一つ誤算があった。そう…眼鏡が着用できないことだった。髪型やアクセサリー1つで人の印象とはよく変わると言われている。その意見には俺も賛成だ。
ここで大事なのは、俺=ユウだと気づかれないこと。先入観が無いとはいえ彼女たちのことだ。前髪全部上げてしまえばすぐにでもバレる気がする。
とりあえず少しでもごまかすために長い前髪を下ろしてみればあら不思議鬼〇郎ヘアーになってしまった。正直いってかなり前髪がうっとうしい。水に濡れたらどうせ髪もしおれて違和感も感じなくなるだろう。ついでにゴーグルも添えておけば自ずと身バレの可能性も低くなる。代償として前髪のうざさが増すのは確定的に明らかだが・・・。
「来たぞ。」
そんなことを考えていれば女子更衣室から二人の美少女―――もとい黒川と石崎がやってきた。
「ごめんねー、遅くなっちゃって。」
「おまたせー。」
石崎の水着は、ワンピース型のもので活発な彼女にとても似合っていた。現に智也なんて鼻の下をだらだらと伸ばしている。
問題はここからだった…。黒川の水着は、ビキニ型で日焼けの後すら見えない綺麗な白磁の肌に体のラインとかがよく見えてしまうわけではっきり言ってやばかった。もちろんいい意味で!!!!
「ちょっとどうして目をそらすの。」
「すまん黒川、俺にはそれはきつい。」
限界を感じた俺はすぐさま目をそらした。ちなみに智也は放置のまんまだ。
『やったじゃん、紗帆ちゃん。大成功だよ。』
『ほんとに?きついとか言われたけど。』
『顔こそ見えないけどあんなのただの照れ隠しよ。紗帆ちゃんのスタイル抜群の体なんて見たら男なんていちころだしね。』
『そ…そう?ならこっそり買いに行ったかいがあったね。』
『うん、私も智君を無事悩殺できているようだしね。』
何だがひそひそと声が聞こえるが俺はそれどころではない。荒ぶる魂と元気になってしまいそうな下半身を自制する。幸い俺のはいてきたのはサーフパンツなので問題はない。
これがよく水泳部とかが履いてる体にぴっちり合う水着だったら俺は、社会的に死んでいたに違いない。
「智君も早く起きて。」
「え?」
パシーンと気持ちいいぐらいの何かをたたいたかのような音が響き渡る。思わず振り返ると石崎が智也に対してビンタしていた。 絶対に痛いぞアレ。
「ハッ!?俺は何を。」
「ほら智君、早く行くよ。」
何事もなかったかのように智也の手を引っぱりプールの方へと向かう石崎。おい嘘だろ智也、暑さでどうかしちまったのか。
「大城君も早く早く。」
「…あぁ。」
ちらりと黒川の方を見ればさすがに恥ずかしかったのだろうかラッシュガードを着ていた。少し残念なもののあれは目に毒過ぎたので正直助かった。周囲の男性なんて連れの女性からの視線が酷いことになっているしな。
正直今の時点でもう心臓に悪い。俺は今日という日を乗り越えられるのだろうか…。
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