第17話 勇気
短いのであげます。
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「はいよ、ジュース。」
「ありがとー。」
「さんきゅ。」
俺が戻ってくれば3人で何やら話し合っていた。黒川の表情を見る限り悩みも解決したのだろう。さっきまでずっと不安そうな表情だったからな。
「はい、黒川も。」
「あ。ありがとう。」
「おう。」
黒川にも一応買ってきた飲み物を渡しておく。ちなみに渡したのは午前の紅茶ミルクティーだ。大体の人が飲めるので大丈夫だと思う。紅茶が無理なら俺のお茶とでも交換すればいいし。
その後の流れとしてはほとんどない。買い物もやったし、みんなでご飯も食べたし、ボウリングもした。あるとすればちょっと喫茶店で雑談したぐらいだ。ちょっと女子のお菓子は別腹という話はやっぱり本当のようだった。
「お疲れー。」
「じゃあなー。」
「またねー。」
「またな。」
(楽しかったなぁ。)
良く分からない罰ゲームでモールに引っ張り出された今日だったがなんだかんだでとても楽しかった。急に寂しく感じる。いつも一人でいても何も感じなかったのに…な。
「……アイスでも買って帰ろう。」
とりあえずコンビニに寄り道してから家に帰った。
◇◇◇
「よっし。」
家に帰って速攻でゲームを起動させる。今日一日離れていただけなのにずいぶん懐かしく感じる。やっぱりゲームなんだよなぁ。
《白翼団が70階層を突破しました。》
「まじかー。」
今のは、システムアナウンスで特定の出来事があった時に全プレイヤーへと通達される。白翼団は、トップギルドのうちの一つだ。俺たちのフィライトみたいな緩い感じとは違ってめちゃくちゃガチな集団だ。中には、リアルを犠牲にしているような人たちまでいる。
「おっしゃあああ。燃えてきたぁぁぁぁ。」
白翼団のこともあってテンションも上がったので早速俺もモンスター狩りに出かけることにした。ちなみに街の中で大声をあげる変人としてのちに取り上げられることになるとはこの時の俺はまだ気が付いていない。
素材集めもある程度落ち着いたところでメニューを開き、オンライン状況を確認する。するとエリーにアークにクロのみんながログインしていることが分かった。すかさずみんなにチャットを飛ばす。
ユウ『みんなでギルドハウスに集まらないか?』
クロ『おっけー。』
エリー『りょ。』
アーク『うぃー。』
メッセージを送って数秒がたつと返事が返ってきた。あまりの早さにちょっとびっくりした。それにしても軽い連中だ。そんな感じの雰囲気が俺は好きなんだが…。
「ユウ遅いぞ。」
「そうだーそうだー。」
「ぶーぶー。」
ギルドハウスに入った途端の罵詈雑言である。まぁ、冗談だというのが分かっているからいいが。
「すまんすまん。それよりも白翼団のアナウンス聞いたか?」
「おっ、聞いた聞いた。とうとう70階層だろ?」
「私たちまだ62だもんねー。」
「でも私たちは、ゆるくがモットーだからね。」
みんなの表情を見て思う。ワイワイと話すこの感じはやはり心地が良い。ただやっぱり本当のことを打ち明けるのが怖い。今は、ただの大城雄大としてしか見られてないからいいだろう。ただ大城雄大とユウが一緒だろ知られたらどう思うだろうか?失望されるだろうか?引かれるだろうか?どうしても俺は、ネガティブに考え込んでしまう。
「何ニヤニヤしてんだ?ユウ」
「してねーよ、バーカ。」
ただ…
一つ言うとすれば…
いつかは打ち明けられたらいいのだと思う。
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