第5話 突撃訪問

「よかった……!」


 心底安堵したといった感じに、幼女がつるぺたな胸をホッと撫でおろす。

 ……ちなみに私も、謎のミューティレーション的な危機から逃れられそうで、無い胸をホッと撫で下ろす。

 

「だったら、ええと、そうだな。話を続けても大丈夫かな」

「話……えと、それ、長くなる?」

「ん? 何か急ぎの用でもあるのかな」

「いや、流石にずっと立ち話なのも……どうかと……」

 

 今はまだ、たまたま誰も通りかかってないけれど。路上で二人棒立ちのまま、向かい合い続けてる今のこの絵面は……なんだかちょっと、シュールかもしれない。ていうか、けっこう足が疲れてきた。



「なるほどだ、確かにそうだ!  話、落ち着いてゆっくりしたいと思う。ならば……うん。良かったら、君の家まで案内してほしい。そして是非とも、お邪魔させてもらいたい!」


「いやもうされたんだよ!? 家にお邪魔! こいつごと!」


 

 これ以上ないダイナミック訪問かましてくれたUFOを指差して、ついつい怒鳴るような勢いでツッコミを入れてしまった。


「……?」


 宇宙人、キョトン顔。

 


「いや、だから……そのデカイやつの下で潰れてるのが、家……私のおウチ、なんですけど」

 


 宇宙人、今や瓦礫と化してしまった、潰れた何かに目を向ける。

 

「え……」


 理解の及んだその顔が、サッと一気に青ざめた。

 


「っっ!? す、す、す、すまなかった! ごめんなさいだっ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る