第4話 アブダクション?

「ありえない! なんかのドッキリ企画なの!? 宇宙人とか、ぜんぶ嘘ッ! ぜったいぜったい、信じない!」

 

 ハッキリ言って、ついてけない!

 

「お、落ち着いてほしい! ワタシが君たちにとって、信じがたい存在であるらしいことは自覚しているんだ……! でも、ワタシを信じて欲しいんだ! ワタシは宇宙人なんだ! 本当だ!」

「そんなこと言われたって! じゃあ、証拠を見せてよ!? 血が緑色だとか! 別の姿に変身できるとかっ!」

「うっ。それは……! そう言われると、ぐぬぬ。ワタシが地球外生命体であるという事を証明できる、地球人との肉体的な差異か……。困ったな」

 

 理解、追いつかない。そうだ……家、壊れたの? え? まじ?

 

「私、たぶん夢でも見てるんだ。はぁー早く醒めないかな」

 現実逃避……いや、現実じゃないぞ、これは。きっとそうだ、そうに違いない。

「むぅ……。夢でもなく、嘘でもないんだけどな」

 

 あー聞こえない聞こえない。耳塞いじゃお。目もつぶっとこ。

 

「……仕方ない。そこから信じてもらえないのなら、これ以上なにを話しても無駄だろうな……」

「……」

 

 聞こえない、聞こえない……。

 

「地球で初めて出会えた日本人の君に、ワタシを信じてもらえなかったというのは……ほんの少し、寂しいけれど。そうだな……仕方ない」

「う……」

 

 まあそりゃ、手で耳塞いだところで聞こえちゃうよね。普通に。

 


「諦めて、引きさがろう。ワタシは、大人しく──」

 

 うぅ、どうしよう。声色、明らかに寂しげになってる。罪悪感が……。なんだか、傷つけちゃったみたいで……。

 


「──手術で君の脳に金属片を埋め込んで記憶を一部消したのちに、大人しくこの場から立ち去ることにしよう」

「えっ怖!」

 

 今なんて言った!?

 

「心配ない。……多分。地球人にも後遺症は残らない。……はずだ。失敗による死亡例も、今のところ、うん、ないはずだし……」

「けっこう心配ある言い方ぁ!」

 

 身の危険を感じた私の口が、本能的に動くの巻。

 

「まってまって! 信じる! 信じるよ!? あなたのこと!」

「ほ、本当かっ?」

「うん……うん。えと、あなたは、宇宙人。なるほど、うん、信じる……よ?」


 信じる信じないの前に、ほとんど反射で答えてた。

 だって、手術のくだり、怖すぎて。

 


 ……と、いうか。そこをガチっぽく感じちゃってる時点で。

 ホントは私、最初から……。

 〝そう〟と信じてしまってる……?


 そう、この子は。

 ……普通じゃない。本当に……。

 


 ホンモノの、宇宙人。……なんだ、って。

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