第3話 大混乱

 いやいや。……いやいやいや。あああ、なんだろ、わけがわからない……! 次から次に常識の埒外が飛び込んできて、私は軽くパニックだ……。


 ……と、流石に言葉すら失って呆けてしまっていた間に。

 私のすぐそば、ふと気付いたときには……そう、手を伸ばすだけで触れあえてしまう距離にまで、その子の接近を許していた。

 

「どうしたのかな、大丈夫かな……?」

「ぅえっ!? あ、う、うん……! いや、どうだろ……っっ」

 顔を覗き込まれて、思わず少し後ずさり。自称宇宙人の幼女から心配されてしまった……。

 

 ……さっきのは、聞き間違いかな?

  

「問題ないのなら、良かった。でもな、あまり驚かさないでほしいんだ……。ワタシだってな、こう見えて緊張しているんだ。地球人と出会ったのも、話すのも、ワタシにとっては君が初めてなんだ」

「……そ、そっか。いやゴメン、なんか、多分……うまく聞き取れなかったというか? うん。それで、えーと……なんだっけ」


「ワタシが妊娠するために地球に来たという話だ!」


 聞き間違いじゃなかった……。

  


「にんしん」

「妊娠だ」

 

「どういう、意味でしょうか……」

「そのままだ、孕ませてもらうという意味だ。子を授かると言った方が良いのかな」

 

 同じですけども。合ってますけども。そうじゃなくて。

 なに? え、なに? もうなにもかも、なんなの?



「…………っ、だーーーーっっっ! はぁっ、だめだ! 色々と脳の許容範囲キャパを超えそう……!」


 思考回路はショート寸前。

 コンプレックスである自分の癖っ毛の髪をぐしゃぐしゃと搔きむしりながら、つい大きな声で吼えてしまった。

 

 UFOがあって? 自宅は、潰れて? 宇宙人が、幼女で? 妊娠するの?


 怒涛じゃない?

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