根暗愛好─ネクラフィリア─

結城彼方

根暗愛好─ネクラフィリア─

自分で言うのもなんだが、私はかなりの美人である。一流企業に勤め、愛想が良く、誰からも好かれ、おまけに頭も良い。そんな私には秘密がある。実は「根暗愛好ネクラフィリア」なのである。きっと、根暗愛好ネクラフィリアなんて聞いたことが無いだろう。何故なら私が「屍体愛好ネクロフィリア」からもじった造語だからだ。この語源からも解るように、自分には悪い意味で分不相応な底辺根暗男が大好きなのだ。


そんな私にも悩みがある。それは根暗男との恋愛関係が長続きしないことだ。原因は私にある。私みたいな分不相応な美人と付き合った根暗男は、自分に自信を持ってしまい、根暗では無くなってしまうのだ。その上、自信が成功を呼び、どんどん社会的地位の高い明るい男になっていく。それと反比例するように、私から見た魅力は下がっていってしまう。そして結局、私から別れ話を切り出してしまうのだ。相手も自分に自信がついたせいか、次の出会いがあるだろうと考え、別れ話はいつもスムーズに終わる。


「あーあ。どっかにずっと根暗でいてくれる素敵な男はいないのかなー。」


そんな事を思いながら、私は今日も根暗男を探していた。そして見つけた。物凄い根暗オーラを発した男だ。私はさっそく声をかけた。


「こんにちは。お兄さん。」


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根暗愛好─ネクラフィリア─ 結城彼方 @yukikanata001

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