第4話 二日目の夕食
さて夕食はどうしようか?折角パリに来たので日本人が居ない地元の店に入ってみたい。
パリには二つの大きなデパートがある。プランタンオスマンとギャラリーラファイエット。これらの南側にはオペラ座があり、日本食の店が多くある地区、広義の解釈(徒歩圏内)ではオテルリッツやルーブルもあると言ってよい。日本人を含めた観光客が多いのだ。
しかし二つのデパートの北側では驚くほど観光客を見かけない。そこに訪れる意味がある。
プランタンオスマンとギャラリーラファイエットの間に立ちオペラ座に背に北を向くと比較的細い道があることに気付くだろう。
この道をひたすら北に進むとモンマルトルの丘周辺に着けるが今日はそこまでは行かない。
歩き始めるとすぐに目の前によさげな聖堂が見えるはずである。これに向かって左側面に続いている坂道を少しだけ登ると目当のビストロがある。
ここはブルゴーニュ料理というかもう少し南のマコン地方に拘りのある店。
歩きまくったのでビールが美味い。お通し的なドライソーセージの肉の風味が強いからビールに合う。パリって美味しいことがよくわかる。
頼んだのは王道パテアンクルート。MOFホルダーが作成したものでフォワグラの味を強めにした美味しいやつ。でも決して脂が強いとは感じず濃厚に感じるところが日本とは違うのだよ、日本とは…。失礼我を忘れました。付け合わせのピクルス(瓶に入って提供されいくらでも食べれる)も酸味が強めで濃厚なパテアンクルートによく合った。
ワインはマコンの白をフルボトル。ミネラル感強めで夏にぴったり。
メインはアンドゥイエット。フランスにはアンドゥイエット愛好家協会(AAAAA)という愉快な人たちがいて認められた優秀なアンドゥイエットには5Aが送られる。ここのはそんなアンドゥイエット(メニューに記載がある。他の店でも見たことがあるので結構メジャーな評価らしい)。タルタルステーキもあったけど5Aを食べてみたくてこっちをチョイス。店員さんから『何を頼んだか分かっている?』って聞かれたけど、もちろん大好物だからって返しておく。そうそうアンドゥイエットは豚の大腸とか胃を細切れにして味付けして、豚の腸にギッシリ詰め込んでソーセージ状にしたもの。ちょっと癖のある味のものも多く日本人全員が好きとは限らないのだ。
日本やアメリカで食べたのはクセのない味だったけど、今回のは濃厚。食べ応えがあって美味しくワインにも合う。しかしこの風味…、私は大好きだけどダメな日本人が結構いるかもしれないな…。パリに来た時はお気をつけ下さい。
デザートはババ。お酒ビタビタにして美味しく頂く。
本当にこの店は外さない。日本人はおろか観光客が一人もいないような地元のビストロ、私のような客が行っても普通の対応をしてくれる。パリで変な接客にあった話を他の人のブログで見かけるが私には本当に縁のない話。最高の料理と接客で大満足な夕食。
明日はもう少し芸術に触れようか?そんなことを考えながら夕闇に沈むパリの夜空を眺めつつ私はホテルへ戻るのだった。
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