第2話きみの場所、僕の午後
きみが僕を見つけてくれたんだ
僕はとある人を好きになった。僕の告白をその人は信じてくれなかった。罰ゲームかと聞いた。またいじめられてるのかとも聞いた。ただきみに告白をしていると伝えると、こんな俺のどこを好きになったのかと聞かれた。
「きみの声が好きだ。きみのメガネを直す仕草が好きだ、きみが僕を見つけてくれたのが嬉しかった」
本屋でアルバイトしている僕は、初めてクラスメイトにバレた。バイト中は前髪をあげなくてはいけないし、笑わなくてはいけない。何度か見かけたクラスメイトは僕に気づかなかった。会計で目があって、きみはメガネの奥の目を見開いて、僕の名前を呼んだ。そのとき初めてきみの声を知ったよ。教室で人の声なんて意識したことなかったから。
「…お前のことよく知らないし」
「これから知っていけばいい、と思うよ。気持ち悪いかな」
「気持ち悪くない」
「嫌い、かな」
「嫌いじゃない。か、考えさせてくれ」
それからきみは僕を避けた。いつもなら諦めるけどなぜかそうはいかなかった。きみに恋をした。この心を無視できなかった。
側に来るのを断らないくせに、きみはいじわるだ。ある時は人が人を好きになる理由を説明しろと言われた。午後の授業中考えたけど、
「わからない。本能とか?」
「ぶっ!」
「笑わないでよ」
パックのいちご牛乳を吹き出したきみにティッシュを渡しながら怒る。
「ごめん」
きみは笑いながら謝って、それをピンク色に染めたんだ。
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