第6話 悪夢
聡太郎が退行催眠で引き出された夢は怪物が出てくる悪夢だった。
怪物は、溶けたり、湧き出したり、泡立ち、膨れ上がり、萎み、破裂したり、不定形な体をもっていた。
漆黒の皮膚に、茶色や緑色、赤や黄色、などが混じっているが、体は不定形なので皮膚の模様や位置が一定に保たれることはない。
体から幾つも生える触手は忙しなく、溶け落ちたり弾けて四散する己が肉片を回収しては、これまた体に現れては消える穴に投げ込む。
穴は肉片が投げ込まれると直ぐ閉じてしまう、また開く時には笛のような音を出して、それを繰り返している。
怪物は他には何をするでもなく、聡太郎の側にいるだけだという。
大きさは膨らむと象ほどに変化した。
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この悪夢の中に現れる怪物こそ、聡太郎が触媒となり呼び出されるショゴスだと、年男はナイアーラトテップから伝えられた。
怪物の印象が強い夢だが、丁寧に根気よく退行催眠をしていくと、怪物は必ず同じ場所に出現していることが判ってきた。
夢の中で、何時も聡太郎は怪物の横にいるのだが、周囲は鬱蒼と木々が茂っている景色で、怪物がいる場所だけが開けている。
その場所は高台になっていて、山だか丘の中腹に位置しているらしい。
何故なら木々の隙間からは平地が見下ろせたし、その反対は岩肌の斜面を見上げる風景になっていた。
木々から覗く平地の風景には川が横切っていて、その川と高台の間には鳥居や社が見えた。
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