　善良な日本人にはありえない出で立ちの登場人物がおりなすライトノベルの物語は、「常識から離れた思考法」「普通とは異なること」の素晴らしさを説く。

　しかし、実際には日本式という常識の枠を超えてはいかない。日本式な思考・行動様式に疑問を抱いても結局生活行動様式を変えない主な読者にとって、まことに好都合な言葉だけの常識外れだ。

　ここでいう日本式とは、日本人の書くファンタジーラノベでお馴染みの和風枠ではない。外国系の名前でも、考え方は日本人そのものな人物たちの行動様式全般だ。それに疑問を抱く者は、日本式な人間の価値観を変えられず、最後にはその価値観を受け入れてしまう。

　カクヨム含め異世界ネット小説なら分かりやすいだろう。

　現実の日本で不幸に遭わされて転生しても、異世界の民に彼らが宣伝するのは日本式な行動や思考の素晴らしさ。

　読みなれていれば、いくらでも実例を挙げられるだろう。

　ブラック企業に搾取され殺されたと嘆いても、異世界ではブラック企業の作法こそ通用したと感謝してしまう。

　無双するのは主人公でなく、日本式だ。

　ただし、戦闘する作品では、平和憲法に守られた日本人の意識を攻撃してくる。

　体罰を躊躇するリベラルな価値観も攻撃する。

　優柔不断な草食っぽい価値観も攻撃する。

　この手の日本式はお嫌いなタカ派のようだ。

　しかし、無駄にやかましい大声など、それ以外の日本式は美点として喧伝する。

　ネット小説が絶賛する日本式も、極めて作為的に選択された物語だ。

　（それでも読者はこれらをまともに読む文学と思ってないので、どう戦意を煽っても戦争の悲惨さを説いていると勘違いするのだが）

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