旅のしおり1
シンジ:いきなり予想外の展開だったが、俺の灰色の脳細胞をもってすれば造作もない殺人事件だったな。
ラル:やいシンジ、おめぇ、亡霊に言われたからって勝手に財宝なんぞ持ち出しやがって、後で怒られても知らねぇぞ。
シンジ:何事も、先立つものは必要だ。王様が洗脳を解いてくれたお礼だって言っていたのだから、きっと姫さんも許してくれるさ。書置きも残したしな。ちなみに、財宝は夜な夜な修行の前に山のとある場所に埋めておいたんだ。
ラル:やっぱり、確信犯だったんじゃねぇのか……?
シンジ:細かい話は置いといて、これまでの旅のしおりを作ろうじゃないか。
ラル:はぁ……。
〇アキマ王国
シンジ:ホロギウム十字大陸の東の端っこにある辺境国だそうだ。
ラル:
シンジ:石とレンガの
ラル:おめぇが町の連中に教えた裸で踊り狂う祭り、広まってねぇといいけどな。
シンジ:俺は面白いと思うけど、姫さんは怒るかもな。
ラル:ミリク二世……ジョンのしでかした、とんでもねぇ殺人事件や王国乗っ取りの件についちゃ、城の要職以外は誰も知らねぇ。もちろん、町の連中も。おめぇが命懸けで救ってくれたってこともよ。
シンジ:知る必要はないさ。
ラル:シンジよ……。
シンジ:王様がシルだけにな。
ラル:うっぜえな。そして大して上手くもねぇよ。
〇フィア(17歳)
シンジ:金髪碧眼な、ザ・王女様って感じの女子だった。
地下牢が好きだったり、すぐ暴力に訴えたり、いろいろと残念なところはあるけど、すべては真面目さの裏返しだから、あんまりからかってやるもんじゃないぞ。
ラル:一番からかってたおめぇが言うな。
そして本人のいねぇ場所で良識的なフォローしてんじゃねぇ。
〇ヤマさん(推定3000歳以上)
シンジ:お山の大将(世界最強クラス)だ。シンちゃんイチオシのスーパードラゴンさんだ。
ラル:おいら(一億歳)よりは年下だけど、それでもアキマ王国ができるより前から生きてる。
人間どものやることにゃ興味もねぇらしいが、意思疎通が取れるシンジには、少しばかり親しみを覚えたみてぇだな。
〇ベン(85)
シンジ:勘違いとボケボケから、俺を『竜槍歩兵』の後継者だと勘違いした押しかけ師匠だ。
ラル:シンジに“鼓動”を教えて戦う手段を与えたはいいが、修行で殺しかけちまう愉快なジジイだったな。あとよ、シンジ、“鼓動”ってのは、一体何なんだ?
シンジ:実は俺もよく分かってないんだ。まだまだ修行しないとな。死行じゃなくて。
〇ラキィ(18)
シンジ:プロットには存在すらしてなかった処刑人さんだ。おかげで一章の文量が大幅に増えたらしいぞ。
ラル:意味分かんねぇこと言ってんじゃねぇ。
シンジ:姫さんとは同じ寄宿学校の同級生だったらしいぞ。
ラル:立場を超えた友情ってやつがあるみてぇだな。
〇亡霊の皆さん(年齢という概念無し)
シンジ:死してなおノリが良いみなさんだ。先代のギル三世とシル四世はジョン(ミリク二世)に操られてたが、俺がマシンガントークで解放した。
ラル:それなりに長く生きてるけど、前代未聞過ぎるぜ。死霊魔術の洗脳を口先だけで引っぺがしたなんてよ(ていうか、いくら転生者っつっても、幽霊と話せる奴なんていたか?)。
〇サラマンダーのみなさん(年齢はそれぞれ、そこそこ長生き)
シンジ:言うなれば戦友だな。サリーにも、その子分たちにも世話になった。
遺跡でご先祖のみなさんと元気にやってるといいが。
ラル:毎朝逃げ続けた甲斐があったってもんだ。(……しかしよ、魔物をこんな簡単に手懐けちまう転生者なんてのも見たことねぇぞ。そもそも、いくら知能が高いと言っても、魔物と話せる人間なんて、今までいたっけか?)
〇ミリク二世改め、ジョナサン・スミス(89)
シンジ:今回の黒幕だ。
ラル:おいらにとってもリラの
シンジ:一億パンチ(笑)
ラル:……。
シンジ:ぷぷぷ……っ。次に会うときは、すっかりギャグキャラになってることだろう。アーハッハッハッハ!
ラル:ある意味、殺されるよりつれぇ生き恥をさらす羽目になっちまったな。おめぇを敵にだけはしたくねぇと思ったぜ。
シンジ:ほかにも、泊めてくれてた宿屋のクィナさんとか、ラットとウィンさんコンビとか、いろいろ世話になった人はたくさんいるが、全員、ちゃんと感謝してる。ありがとう。
ラル:おい、よく見たらおいらの名前がねぇじゃねぇか!
シンジ:さて、振り返りも済んだところで、そろそろ、旅のお供が欲しくなってきたな。
ラル:聞けよこのやろー。
シンジ:というわけで、次からは砂漠のとある町で、仲間集めだ。
ラル:いいけどよ。どうやら砂漠には魔族の居城があるらしいぜ、気を付けろよ、シンジ。
シンジ:俄然、冒険って感じがしてきたな。
ラル:能天気な奴だぜ。
シンジ:さぁ、旅を続けよう。
第一部二章は、3/6 20:00より更新開始です。
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