第2話
海岸に着く。
自転車を砂浜に置く。
靴を脱いで、裸足になる。
足を海水に浸す。
冷たい。
なんせまだ春が始まったばかり。
近くの桜の木から溢れる花びらが足を彩る。
写真を撮った。
透け通った海水の中に見える足。
その上の桜。
乱反射する水紋。
なぜこんなに綺麗なのだろう。
三階に生まれていたらわからなかった。
知らなかった。
自転車を漕ぎだす。
ペダルの回転に合わせて風が吹く。
駅の真下を通る。
騒音が鳴り響く。
人影は無い。
唯、寂しい光だけがある。
目に埃煙が滲みる。
出来る限りの速さで通り過ぎる。
目的地は5丁目にあるカフェ。
町の中心部からは少し外れた場所にある。
人通りは少ない。
しかし、何処からか客が湧く。
『最高』の評価を付けて客は消える。
俺はそこで働く。
いつも同じ光景。
何も変わらない光景。
日常。
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