冴えない彼女と休日

翡翠(Hisui)

冴えない彼女と休日

「恵〜もう起きたほうがいいんじゃないか?」

俺の名前は安芸倫也。なんて、もう説明する必要はないよな。どうせこれを読んでる人は.....あーいかんいかん、こういう話はしない方がいいんだよな。


「はぁぁ〜おはよう倫也くん...ってあれ?」

時計を見て、はっとする恵。

「おう、起きたか。」

今の時刻は11時40分。

なんでこんな時間に恵が起き始めたかと言うと、まぁいつも通り夜遅く(厳密には朝)までゲーム制作を手伝わせていたせいであって。


「もうこんな時間なんだ。」

朝の5時くらいまで付き合わせていたせいで、まだ疲れが取れていないようだ。

「自分が気づかない内に時間って結構過ぎてるもんだぞ?」

「倫也くんがいい例だよね〜」

「おいおい辞めてくれって。でも、今日はもう大丈夫だぞ!なんたって昨日までの遅れはもう取り戻した!」


そう、昨日までの遅れは取り戻した。

徹夜した甲斐があったぜ。そのせいで疲れは相当溜まっているが、まだ慌てる時間じゃない。

今日は午後からサークルメンバーの英梨々と詩羽先輩を呼んで、俺の家で一緒に打ち合わせをする予定がある。

もし終わってなかったら詩羽先輩から何を言われるかは大体想像がつくだろう。


「そっか〜、終わってよかったね。」

「恵が手伝ってくれたおかげで作業が早く進んだよ。本当にありがとうな。」

「それはお互い様でしょ?」

「そうだな。」


恵とこうして普通に会話をしているだけで、何故か安心する自分がいる。

今の自分にとって、こうした何気ない会話でも恋人同士という関係なだけで凄く特別なものに感じるのだ。


さてと。

「今日は午後から英梨々と詩羽先輩が家に来るからそろそろ準備した方がいいぞ?」

「それもそうだね」


-30分後。


俺は2人が来てすぐに打ち合わせが始められるように、PCの電源を入れる。

「恵、できれば飲み物とお菓子を出してくれると助かるんだけど」

「はいはい〜もう持ってきてあるよ。」

恵はこういう時すごく気が利くんだよな。

すごく助かってる。

と、その時──


バタンッ、部屋のドアが開いた。

「おっはよー!倫也、それに恵も!」

「おはよう倫理くん。」

詩羽先輩、恵いるから...

そう思いながら、俺は元気よくこう返す。

「おはよう2人とも!」


「さあ、今日も初めて行こうか!」

俺はPCに向かい、さっき書き終えたシナリオを見せる...はずだったんだけど。

「あれ、おかしいな?」

さっきまで書いてたシナリオがない。

え、嘘だろ...

この俺が保存するのを忘れるだなんて。

「ちょっと倫理くん、これはどういうことかしら?」


「〜〜〜〜〜!!」

「誠に申し訳ございませんっっっ!!」



「ちょっと倫理くん...あなたこんなギリギリの時にシナリオ書いてたけど無くなっちゃいました〜なんて通じるとでも思ってるの!?」

「これに関しては霞ヶ丘詩羽に同意ね。」

2人とも、こういう時だけ無駄に団結力発揮するの辞めてよ...


だけど恵は許してくれるよな...?

「もう...なんだかなぁだね。」

「恵まで!皆、そんなに俺を責めないでくれよぉ...」


はい。

そんな訳でblessing software活動スタートです....



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