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 20X0年、夢がパラレルワールドであるとの結論が出された。その後、夢には多くの階層があり、その最下層へ行けば本当の自分を知ることができると言われた。

 報道によると、夢の最下層へ行った人の多くが特に変わったことはないと言っているらしいが、滝川光は、好奇心もあり、高校生最後の夏休みに自分探しの旅をすることにした。

 最初の方は具体的な世界だったが、次第に見えるものが抽象化され、輪郭が消え、色だけの世界になり、彼自身がその世界に溶け込んでいき、そして完全に取り込まれた。が、今度は彼とともに輪郭が現れ、世界が具体的になっていく。そうして世界が再構成されたとき、彼が見たのは、いつもと変わらぬ日常風景であった。

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