第17話

「チームと言ってもそれぞれに特色があっての。モンスターの系統を絞ることで得意不得意を明確にし、そのモンスターの力を最大まで引き出そうとするチーム。ダンジョン攻略を主として強力なモンスターを従える武闘派チーム。ダンジョンで手に入るアイテムや素材を集めそれらを加工、販売するチームなど様々じゃ」


確かに街で見かける陽月師達は何人かで固まって行動していたり多くの陽月師がたむろす場所があったりした。

あれはチームのメンバーだったり集合場所という事だったんだろう。


「そんなチームの中からお主達を受け入れても良い、指導出来るだけの実力があるチームをこちらで選んでおいた。まずはそのチームに入って基礎を学ぶと良い。そして力を蓄えたら改めて自分の進みたい道に合ったチームを探すのじゃ。紹介するでな、付いて来るのじゃ」


そう言って聖堂を出てすぐ側の小部屋に案内されるとそこには3人の陽月師がいた。


「ここにおるのはそれぞれがチームの代表を務める者達じゃ。各チームの特徴は自己紹介と一緒にしてもらおうかの」


モンスター爺さんはそう言うと俺達から見て一番左に座っている男に自己紹介をするよう促した。


引き締まった体に各所を金属で補強した鎧を着込んだ男は

「俺はヒューイ!『鉄血兵団』を率いる漢だ!俺達のチームはモンスターと共に戦い絆を深め、強敵にも憶する事なく立ち向かう、どこよりも熱いチームだ‼︎」


狭い室内にヒューイの大声が響く。

側に座っている紅いたてがみの生えた獅子の様なモンスターもそれに合わせて吠えたもんだから耳がキンキンしてしょうがない。


「…俺はバトス。モンスターの素材を加工して装備を作るチーム、『愚者の研究室』の代表だ」


続いて話したのは眼鏡を掛けた寡黙な男だった。

ローブを着ているがその下には鍛え上げられた筋肉が見え、今にもローブを破ろうとしていた。

隣にいるモンスターは不定種なのだろう、金属の様な輝きがありながら半分液体の様に見えた。


「最後は私ね。動物種を愛し、共に冒険する『迅風』の代表、ミーミアよ。よろしく」


この場にいる唯一の女性で猫の様なモンスターを従えた彼女はそう自己紹介をした。

よろしくと言いながら俺とフーシェンに対してウィンクをしてきたのでちょっとドキッとしてしまった。


「さぁ!お前達‼︎俺と一緒に熱い陽月師を目指そうじゃないか‼︎」

「…モンスターについて知りたければうちに来ると良い」

「私達が丁寧に教えてあげるわ!」


「と、まぁこんな感じじゃが好きなチームを選ぶと良いじゃろう」


そうモンスター爺さんが締めくくった。


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