第16話

「改めて確認じゃがお主達は陽月師として生きていこうと言うのじゃな?」


モンスター爺さんは俺とアランに真面目な顔で問いかけて来た。


「陽月師とはお主達が思うような華々しいものでは無いかもしれん。辛い環境、迫り来るモンスター、時には怪我をして動けなくなる事もあるじゃろう。そして命を落とす陽月師も少なくは無い。普通に暮らしていては味わうことの無い苦痛じゃ。それでもなお陽月師になりたいと申すか?」


俺達は顔を見合わせた。

ダンジョンを攻略した陽月師は多くの賞賛と栄誉を得る。一生を遊んで暮らせるような富を得ることもある。だがその裏では多くの名前を知られる事なく散って行った陽月師がいるのだろう。

知識として、大人達の世間話の途中で聞いた事は合っても実感なんて無い。

それでも陽月師に憧れた。陽月師になりたいと願った。

それだけは確かだった。


「まぁこれを聞いて陽月師になるのを諦める様な者は、始めから扉に認められる事は無いんじゃろうがな」


なんともお気楽な感じでそう言ったモンスター爺さん。

俺もアランもイラッとしてつい睨む様な表情になってしまったのは仕方ないと思う。


「ホッホッホ、儂らも貴重な陽月師をそう易々と失う様な事はせん。ある程度の期間、先輩陽月師に冒険のイロハを教わるのじゃ。一人でダンジョンに行くのはその後じゃよ」


「そうは言っても陽月師の先輩だなんて誰に教われば良いのさ?知り合いなんていないよな?」


アランは小さな声で呟いた。

だがモンスター爺さんは聞こえていたのか、それともそうなるとわかっていたのか


「そこでお主達には自分の所属する陽月師の集まり、チームを決めてもらう」

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