第13話
俺たちは誰一人として動けなかった。
あの扉がモンスターだったなんて、それにあの扉は俺たちと同じようにしゃべっているじゃないか。
あんな恐ろしい声で話しかけられて、脚がすくんで動いてくれない。
「お、おいオルタ。どうするよ」
隣にいたアランは震えながら聞いてきた。
「あの扉の前に立てばどうなるんだよ、食われちまうのか、それとも扉の向こう側に取り込まれちまうのか…こんなの聞いてねぇよ」
狼狽える気持ちは分かる。俺だってさっきから震えが止まらない。きっとフーシェンだって…
そう思ってフーシェンを見るとあいつはこっちをジッと見つめていた。
何も話しかけては来ないがその眼は力強く訴えかけてくる。
こんなものに怯えて何が陽月師じゃ、と。
「よ、よし…行くぞ」
「おい、オルタ行くって、まさか!」
フーシェンと一緒に扉の方へ歩き出す。
怖いけど、こんなとこでビビってちゃ陽月師になんてなれやしない。
俺は陽月師になるんだ。
フーシェンと一緒に冒険するんだ!
扉の前まで来て俺はフーシェン膝をついて頭を下げた。
心臓の音がうるさい、口が渇いて仕方ない。
でもここまで来て退く訳にはいかない!
『フム、ヤハリ最初ハオ主カ』
『オ主ノチカラヲ見セテモラオウ』
そう言うと、扉の眼だけがこちらに伸びてきて俺の事を四方八方から観察してくる。フーシェンの事も同じように観察していた様だ。
『分カッテハイタガ、ナルホドナ』
『オ主ナラバ些事ナカロウ』
『受ケ取レ』
『オ主ノ陽月師トシテノ証ダ』
俺の前には大きな杖と小ぶりなカバンが投げ出された。杖の先端には淡い黄色の宝玉が付いていた。肩掛けの紐のついたカバンにも同じ宝玉が付いていてどちらにも狐の横顔の様な紋章が彫られていた。
『オ主ヲ陽月師トシテ認メヨウ』
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