第2話
視覚的ノイズ、入部するなり彼女は集まった部員と楽器と譜面台を見てそう言ったらしい。当然、彼女は孤立した。それでも退部まで至らなかったのは、彼女が音楽の天才だったから。ただし、
「これ、お礼。私、音楽には詳しくないから上手く言えないけど、すごかった。よかったら、明日も聞かせてよ。また、お礼用意するから。」息を切らしながら私が喋る間、彼女はずっと缶ジュースを見つめていた。私の話が終わると彼女は、じゃあ、また明日も来させてもらおうかなと言った後、缶ジュースを私に見せて、これ炭酸飲料だけど走った時に振ってないよね?と微笑んだ。私は久々に大笑いした、彼女もお腹を抱えて笑っていた。幸か不幸か、この出来事が原因で彼女は吹奏楽部との縁を完全に切った。彼女は幽霊部員になった。楽器の貸し出しは顧問が特別に許可してくれたらしい。こうして私と彼女の間に、パトロンと演奏者という奇妙な関係が生まれた。
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