模擬戦に起きた異変
レオが小さく呟いた次の瞬間、彼の乗る戦者はバイシャマンが乗る戦者の眼前に出現した。
『………は?』
「「……………!?」」
その突然の出来事にバイシャマンは思わず呆けたような声を漏らし、二人の模擬戦を観戦していたリアとルナを初めとする女学生達や女性の教官が絶句する。しかしレオはそんな周囲の反応なんて気にもせず、彼の乗る戦者は自分の動きに驚き硬直しているバイシャマンの戦者の頭部を右手で掴むと、そのまま勢いよく地面に叩きつけた。
「呆けてる暇なんてあるの?」
『……!』
頭部を地面に叩きつけられたことによって戦者の操縦室に激しい揺れが生じ、操縦室にいるバイシャマンは揺れとレオの見下すような声で、驚きで停止していた思考が正常に戻った。そこでようやくバイシャマンは自分が地面に倒されていることを理解する。
『て、テメェ……!』
バイシャマンは自分の戦者を立ち上がらせて何とかレオに反撃しようとするのだが全ては遅すぎた。
「
『っ!? ………!?』
レオが呟いた瞬間、バイシャマンの戦者の操縦室に先程までとは比べ物にならないくらいの揺れと重圧が生じ、息が出来なくなった。意識を失いかけたバイシャマンであったがなんとか気合で意識を保ち、揺れと重圧が消えてから辺りを見回すと、彼の戦者はレオの戦者に頭部を地面に押し付けられた体勢のまま、しかし先程とは別の場所にいた。
『な、何だ……? 何が、起こったんだ?』
自分に何が起こったのか分からず呟くバイシャマンであったが、今起こった事が理解できなかったのは彼だけでなく、周りから模擬戦を観戦していたリア達も同様であった。
「ねぇ、リア? 今何が起こったのか分かる?」
「い、いや……。私には何も見えなかった……」
驚きで目を見開きレオとバイシャマンの戦者を見ながら聞くルナに、リアも二体の乗る戦者を見ながら答える。彼女達以外の女学生達、女性の教官は驚きのあまり言葉を失っていた。
リア達の目にはバイシャマンの戦者と、それの頭部を地面に押さえつけているレオの戦者の周りで土埃が起こり「ギュバッ!」という音が聞こえたかと思ったら、二体の戦者がいつの間にか同じ体勢のまま別の場所に移動していたように見えた。
バイシャマンにも、リア達にも今のが一体何が起こったのか分からなかった。分かっているのは、今のを起こしたのがレオであるということだけである。
(とっさの思いつきだったけど、案外効果があったみたいだな)
戦者の操縦室の中でレオは、バイシャマンの戦者を見下ろしながら内心で呟いた。
レオがやったことはとても単純だ。
しかし
この様な攻撃、精神体であるデスには通用しなかっただろうが、それでも同じ戦者には充分有効であるのが分かり、レオは戦い方を見直す必要があると考えながらバイシャマンの戦者を解放する。
「立ちなよ。これで終わりじゃないんだろ?」
『あ、当たり前だ! ……え?』
『『………!?』』
レオの言葉にプライドを刺激されたバイシャマンは、彼を睨み付けて何かを言おうとしたのだが、そこで見た光景に言葉を失う。そしてそれは模擬戦を観戦していたリアを初めとする女学生達と女性の教官も同様であった。
バイシャマンとリア達の視線の先では、レオの乗る戦者が先程とは違う姿に変わっていた。
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