ルリイロカネ
ナノマシンの集合体であるルリイロカネで全身を構成された戦者には機体が損傷した際、ルリイロカネが自己増殖して損傷した箇所を修復する自己再生機能が備わっている。この機能のお陰で戦者は、全身のルリイロカネが完全に死滅しない限り、どれだけ機体が損傷しても時間が経てば自然と修復される。
しかし新しいルリイロカネを補充できれば自己増殖をする必要がなくなり、機体が修復される時間は大幅に省略される。
その為、デスと戦う為の前線基地では戦者に補充する為のルリイロカネが常に用意されており、それは戦者を格納する格納庫の近くにあるとレオは記憶しているのだが……。
「一体何処にあるんだ? ルリイロカネは?」
レオは朽ちた前線基地の内部をさ迷い歩きながら呟く。前世でこの前線基地を利用した彼だが内部の構造はほとんど覚えておらず、更に言えば通路の所々で長年の風化による落盤が起こっていて、中々ルリイロカネを見つけることができずにいた。
大変なのは基地を見つけるまでで、基地を見つけたら警備システムも止まっているはずだし調査は簡単だと思っていたレオだが、その考えは甘かったと思い知らされた。確かに基地の電源は沈黙して警備システムは止まっていたが、同時に自動ドアやエレベーターなども止まっていて、そこに落盤による通路の封鎖が加わって調査を困難にしているのだった。
「これはかなり手こずりそうだな……」
基地の中の調査が予想以上に困難だと判断したレオが、食料や閉じた扉をこじ開けるための道具を取りに一度戻ろうとしたその時、通路の向こう側で何かの光が見えたような気がした。基地の照明は当然ながら消えたままで、今ここで光を放っているのは彼が持つランタンだけのはずなのだが、今見えた光はそれとは違うように見えた。
「今のは何だ?」
レオが光が見えたと思った所まで行くと、そこは通路の突き当たりで壁には人が通れそうな大きな穴が空いていた。そして彼が壁の穴を覗き込むと、穴の向こう側でついに自分が探し求めていたものを発見したのだった。
「……! あったぞ! ルリイロカネだ!」
思わず大声を上げるレオの視線の先には、人が何人も入れそうな巨大な硝子の容れ物があり、入れ物の中にはその名の通り青い光を放つ
ルリイロカネが放つ光を見たレオは急いで壁の穴を潜り抜ける。ルリイロカネがある部屋は基地の通路同様に荒れ果てていたが、それでも何とか部屋にある階段を見つけて昇り容れ物より高い位置へ移動した彼は、容れ物に入っているルリイロカネの量を確認して満足そうに頷く。
「よし! これだけの量があれば充分だ。後は……」
レオはそこまで言うと、ためらう事なく階段から飛び降りルリイロカネの中に飛び込んだ。するとその瞬間、先程から青い光を放っていたルリイロカネが今まで以上の強い光を放った。
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