第53話 デッドリーブラザーズ襲来

文化祭の準備は着実に進んでいき、あと1週間という所までたどり着いた。


「屋台組み立てんのって難しいな」

「なかなかの重労働だね」


ここ数日で筋肉が何割か増したと思う。

腕が太くなっている。


「大変そうね、御影君」

「まぁ、心身ともに色々と」


ここ最近の話だが、背中に視線を感じるのだ。

検討はついているのだが。


「今日の帰りにとっ捕まえようぜ」

「賛成ね、少し鬱陶しいから」


例のストーカーは、ユウキが家を出て、家に帰るまで続く。


「おい、何か近づいてねぇか?」

「ほんの少しね、会話を聞こうとしているみたい」


ストーカーを捕まえるべく、俺と小倉は一緒に帰った。

こうすれば犯人は炙り出せる。


「例の道行くぞ」


例の道とは、最初の方で出てきた人通りの少ない一本道だ。

偶然って本当に怖いと思った。


「お? お前·····」

「デッドリーブラザーズ、出動だ」


チンピラ2人組と、バッタリ会ってしまった。


「あれ? あの時の兄貴じゃないすか」

「どうして、そいつと一緒にいるんすか」

「たまたま」


すぐさまチンピラ共は、臨戦態勢をとった。


「俺たちはなぁ、そいつのせいで2度も警察のお世話になったんだよ!」

「今度こそ許さねぇ!」

「ちょっ」


襲いかかられたら終わる。

俺は弱いからな。


「はーい、チンピラの皆さん」

「誰だ?」

「お姉さん·····」


ベストタイミングで、叶が現れた。

その声は怒りと殺意がこもっていた。


「何をしていたの?」

「あ? 何だって良いだろ」

「·····聞いてるの」

「襲われそうになったわ」

「「おい!」」


まぁ、今回は間違っていないのだが。

叶はターゲットをロックオンした。

獲物を狙うライオンのように。


「死にたいの? それか今すぐにここから消えるか、選んで」

「それはもちろん·····」

「「逃げる!」」


チンピラ共は、すぐに背中を向け逃げていった。

逃げ足はすごく早かった。


「はぁ、困った困った」

「こっちがだよ! ストーカー」

「人聞き悪いわね、調査よ」

「変わんねぇよ!」


どっちみち後をつける必要はねぇんだよ。


「てか調査ってなんだよ」

「貴方が風花ちゃんに相応しい男かどうかよ」

「「は·····?」」


それって·····、どゆこと?

まるで結婚相手みたいじゃないすか。


「な、何を言っているのかしら、余計なお世話よ」

「まだ40点てとこかしらね」

「まだストーカーするつもりかよ·····」


40点ってどうなのか。

取れているのではないだろうか。


「さすがにもうしないわよ、風花ちゃんに嫌われると困るし」

「もう嫌いよ」

「だってさ」

「え·····」


それから姉はたまに相談しに来るようになった。








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