第6話 赤のお姫様の一日


--------赤のお姫様の場合--------



ここは、砂漠の中にあるピラミッドのうちの一つ………の頂点に巨大な杭を打ち込み更にその上に逆さにした円錐状の建物の中の一室。

そこはまさに謁見の間のような広さに部屋を一望できる位置に玉座を構え、その玉座に寝転ぶような形で赤のお姫様は退屈そうに送られてきたレポートに目を通していました。


「……退屈ねぇ」


そう言いながら赤のお姫様は次々とレポートを右から左に流していく。

赤のお姫様は仕事を全部デクたち--赤のお姫様のデクは砂漠使用で熱に強い作りになってる--に丸投げして自分はいつもこの広間でゴロゴロしていました。


「白のお姫様からまた被害状況報告書の提出の催促が来てる…あの子もホント飽きないわねぇ。調べたところで何かが変わるわけでもあるまいし」


デクたちが調べて来た情報を精査もせず適当にパッケージングしてメールに添付して送る。


「あー……黒のお姫様はまた無線封鎖してるわねぇ。あの子は何か仕事してる時は連絡つかないのよね」


呼び出しに応じない黒のお姫様にため息をこぼす。


「青のお姫様は何してるのかしら?」


そう思い呼び出しを掛けると


『はいさー、赤のお姫様じゃん。どったの?』

「それがねぇ、あまりにも退屈だから連絡入れて見たんだけど、今何してたの?」

『今ねージェダイになってるんだ』

「ジェダイ?」

『そそ、かつて人間さんが考えた宇宙の戦士』

「なんでそんなもんになってんのよ?」

『そう言うゲームなんだって』

「ふーん…」


赤のお姫様は少し考えて


「それじゃあ今からそっちに行くから」

『んー?わかったじゃあ鍵開けとくねー』


通信を終えると赤のお姫様は玉座から飛び降り窓へ向かいました。

その青い空に向かって勢いよく飛び出すとそのままもの凄いスピードで飛んでゆきました。

ほんの10分程度で青のお姫様の居る島国に到着すると、そのまま青のお姫様のデクに案内されて部屋にたどり着きました。


「はいるわよー」

「ういー」


その返事を聞いて青のお姫様の部屋に足を踏み入れると、椅子に座って目をつむってる青のお姫様が居ました。


「客人来てるんだから、ゲームにフルダイブするのやめなさいよ」

「えー、別にいいじゃんどのみち赤のお姫様だってゲームするつもりで来たんでしょ?」

「まぁ、そうだけどね」


赤のお姫様は手ごろな椅子を引っ張り出してそれに座り青のお姫様と同じように首筋の有線接続用コネクタにケーブルを接続して目を瞑りました。


それからしばらくその部屋は沈黙に包まれました。

どうやら二人で接続したサーバー内の仮想空間でゲームを楽しんでいたようです。

ひとしきり遊び終えたのか、二人は同じタイミングで目を開けて首筋に接続したケーブルを引き抜くと同時に笑い出しました。


「ちょっと、面白すぎなんだけど!敵のボス戦ってる最中に踏みつぶされて事故死するなんて」

「流石にあれは想定外だよ!あんな終わり方ってあるんだ」


ゲラゲラと腹を抱えながらひとしきり笑うと


「さぁて、なかなかいい時間だけどどうする?」


そう言われて時刻を確認すると思った以上に時間が経過していたことに気が付く。

しかし、赤のお姫様は気にせず


「私たちに時間なんてあって無いようなものよ。他のゲームをするわよ!」

「良し来た!」


そうして二人は島国の朝日が昇るまで遊び倒したのでした。







そして後日。職務怠慢で二人はマザーにめちゃくちゃ怒られたのでした。










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