第3話   サークル勧誘(序章

 「入学式も、田中君にバレることなく過ごせてよかったぁー」

 大学の入り口である玄関で背を伸ばす。

 他の新入生は、まだ中で軽い説明を受けている。

 私は先生にお願いして、説明を後にしてもらったのだ。

 「おーい、由利!こっちだよー」

 「お姉ちゃん!お待たせ!」

 私の姉である由美は、『料理サークル』の部長である。何故、学校の説明を受けないで姉のとこまで来たかというと、

 「悪いねぇ、2人残して後の部員サークルに入ってくれた人のために料理作らせてるからさぁ。人でが足りなかったんだよ」

 という、訳である。

 私も実際『料理サークル』に入るから新入生も他に欲しいところだ。

 もし、もしもだけど田中君が入ってくれたら、、、

 「何?彼氏のこと思ってんの?」

 「人の思考読まないでよ!?」

 「いや、顔見れば分かるっての。そんなことより、早くエプロン着てこの看板持ってよね」

 うぅー、顔が赤くなってたことバレたのかなぁ。恥ずかしい。

 「というか、エプロン着るの?そのままじゃなかったの?」

 こいつ、何言ってんだっていう目でこちらを見る姉。

 「当たり前でしょ。エプロン着て可愛いさで男を釣るんだよ。後、看板の『あの人に手作りの手料理を』ってキャッチコピーで女を捕まえるの」

 言い方が酷い。

 だから、女性4人でサークル勧誘する訳か。

 「最低でも、4人以上は新入生ゲットするわよ!」

 『おぉー!』

 こうして、サークル勧誘が始まろうとしていた。




一方その頃の田中は、、、

 

 『吉野さんって、何のサークルしてるのか

なぁ。あの時しっかりと聞けなかったし、吉野さんと同じサークル入りたいなぁ』


先生の説明そっちのけで、吉野のことを考えていた。

 

 「よし、説明は終わりだ。これからは自由行動だぞ!サークル勧誘が始まるから気になる奴は色々見てこい!!」

 先生がそう言うと、『周りの人はそれぞれサークルを見ようぜ』だの『帰る』だのと言いながら、教室を出てゆく。

 僕もそろそろ、吉野さんに、、もといサークルを見に行くか。

 吉野さんは何のサークルに入るかな。楽しみだ。



そして場所は戻り、


 「新入生が出てきたぞぉーー」

 どのサークルが言ったかは分からないが、まるで波のように人が新入生目掛けて押し寄せる。

 「さぁ、狩の、、、勧誘の開始だよ!」

 私の姉は、人を捌くつもりなのかな?

 どうでもいいことを思いながら姉に続き私も行く。

 田中君を、、、田中君と新入生をゲットする為に!!

 「田中くーーー、、コホン。皆さん!!料理サークル入りませんかぁ!!」

 田中君にこの声が届きますように!!

 そう祈りながら、沢山の声が飛び交う場所へ向け声を出すのであった。

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