明治を超解説 ②

 えー前回、質問を募ったのですがなかった(くすん)。

 なくてもやります、二回目!


 前回の補足としまして、お公家さんの朝廷は何をしてたのかお話しします。

 公家の中もわれておりました。

 

 幕府をぶっつぶして、朝廷中心の政権をという、強権派(岩倉具視)

 異人さえ追い出せば、後は今まで通り幕府に政治はおまかせしまひょ。穏健派

  

 孝明天皇は穏健派で、松平容保ひきいる会津藩をとっても頼りにしてたのです。

 ところが! その孝明天皇が急死しちゃったもんだから、事態は180度ひっくりかえったのです。


 これ、声を大にしては言えない話ですが、あまりにこの急死が不振すぎて、毒殺説も……犯人は、薩摩と結びついた岩倉具視じゃないかってうわさが……


 歴史の暗黒面で、こわくもおもしろいところです。絶対教科書にのってない。


 孝明天皇の死後、まだ少年の明治天皇が即位します。そっから岩倉ひきいる強権派が強くなっちゃう。少年天皇を裏でいいようにあやつ……ゲフンゲフン


 戊辰戦争で薩長が勝ち、薩長と結びついてた強権派の理想とする、朝廷を中心とする政権が誕生するのです。


 朝廷中心っていったって、重要ポストはお公家さんですが、実質政治を回してたのは薩長と土(土佐)肥(肥前)。土肥は戊辰戦争でとっても活躍したので政権へ。そして岩倉具視。この岩倉具視、最強すぎる……(「あまねく」にも名前だけ登場)


 薩長土肥のお殿様が、政治をしたわけではありません。お殿様たちは相談役とか名誉職に。

 政府を牛耳っていたのは維新三傑として名高い、木戸孝允、大久保利通、西郷隆盛とその仲間たち。ほとんどが元下級藩士たちです。岩倉具視も、お公家さんといっても下の方のお家柄。

 いわゆる下克上っぽいですね。 


 なんとなく、明治に至る政治の流れがご理解いただけたでしょうか?




 続きまして、現代人は理解しずらい身分のお話し。


 私、ライトノベルで主従物のお話しを読んでて、震える瞬間があります。それは、家臣が主人(たとえば王子様とか)にとってもフレンドリーにおしゃべりする時。


「おい、おまえそんななめた口きいてると、ぶっ殺されっぞ」と震えあがります。

 洋の東西を問わず身分社会において、家臣がタメ口とか、ありえねえ……

(けっして、否定してるんじゃないですよ。そういうノリでおもしろいものいっぱいありますから。ただ私が恐怖するだけの話です。あしからず)

 

 中でも日本の武家社会はとっても厳しかった!

 規律をちゃんとしとかないと、いつひっくり返されるかわかんないじゃん。ってことです。戦国時代がいい例ですよね。家臣が、主人を殺しちゃうんですから。

  

 厳格にこの身分を守ったから江戸時代は200年以上続いたのかもしれません。それ以外にも要因はいっぱいありますけど。


 お殿様たちは、厳格な身分に守られのほほんと好き勝手していたわけではありません。殿様たちには、身分と引き換えにプライベートなんて存在しなかったのです。

 幼少の頃から、教育係にみっちりしこまれる。昼は弓や剣術の稽古、夜は書物を読んでお勉強。藩士の規範とならねばなりません。


 結婚だってお家の為になる相手を許嫁に。側室はわりと自由にもてたけど、それは愛情とかではなくより多くの子どもを残すため。


 あんまりそっち方面に興味のない殿様には苦痛でしょうがなかったでしょうね。無理やり子作りとか。おもしろい春画があって、やる気のないお殿様の上に側室がのっかって励んでいるというシチュエーション。殿様のだらけた顔が笑えます。

 こんなふうに、セックスだって庶民の笑いの種にされちゃうんです。


 女性だって大変です。

 こんなお話しがあります。ある藩の正室(正妻)の侍女に殿様のお手がつき、懐妊。無事女の子を出産するのですが、その侍女は間もなく自殺します。

 理由は、お役目(出産)は無事果たしたが、奥様には申し訳なく命を絶っておわびするというもの。


 うおーなんちゅう世界観! お殿様に無理やりされてとか、他に愛する人がとかそんな個人的な理由でなく、忠義からくる申し訳なさ……

 もう、現代人には理解不可能な心情。これ幕末の話ですから、明治も似たような世界観です。


 このように、正室以外から生まれた子供は庶子といい、正室の子どもである嫡子と区別されました。庶子はいわゆるスペア。嫡子に何かあった時に後を継がせるため。


 同じ庶子でも母親の身分でまた、区別されるのです。より身分の上の母親のおなかから出た子の方が上。なんて世知辛い。これぞ身分。


 これが一切関係なかったお家が……それは徳川将軍家。大奥には身分の低い側室がいっぱい。側室の身分一切関係なし。子供を産んだもん勝ち。実力(?)主義。


 不思議な事に、三代家光は正室の子でしたが、それ以降の将軍たちに正室の子はいません。分家からの養子はのぞいて。


 んっ?てなりますよね。正室に子供ができなかったってことです。何代も。

 正室に子供がいても、みな若くで亡くなっている。でも不自然でしょう?


 正室には、だいたいお公家さんのお姫様がなりました。正室の子が将軍になると自然と母方の実家が力を持ち始める……それは、武家である将軍家には不都合。

 ということは……うーんここでも歴史の暗黒面が。


 「あまねく」の主人公も庶子です。家老を代々継ぐような名家の生まれですが、母が商家の出だったので、母方で育ちました。

 その父は、藩主の子どもでしたがこれまた庶子。身分において下の家臣の家に養子に入るのです。


 身分の厳しさがおわかりにいただけましたでしょうか?

 こういうの知っちゃうとほんと現代に生まれてよかったと、心底思うのです。


 

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