第3話
第三回
不動付言が眠い目をこすりながら夢とうつつのはざまをさまよっていると階下から母親の大きな声がする。
「付言、起きるんだよ。たかのりおじさんから電話だよ」
一度目の母親の大きな声で起こされて、二度目の声でまわりの状況を把握したらしい。つまり自分の部屋で自分のふとんで寝ているということを。そして窓の障子を通して柔らかな光が部屋の中にさしこんでくる。
「今、いくよ」
不動付言は眠い目をこすりながら手すりにつかまって急な階段を下りて行った。電話をとると、警視庁捜査一課の木島たかのりの声が聞こえる。勤続三十年というこのベテラン刑事の声がいくらかたかぶっている。
「付言、お前が捜査に必要ないと言ったのは取り消しだ。まだ、捜査に協力していてくれ。所長にはわしの方から話しはつけてある」
「おじさん、どういうことですか。こんなに突然に」
「突然でもなんでもいい。お前の協力がまだ必要だということだ。警視庁のほうからお前を迎えに車が来るからそれに乗ってくれ」
そう言っておじの木島たかのりはがちゃんと電話を切った。
「事件かい」
不動付言の母親は自分のことのように興奮していた。そして喜んでいた。
「父ちゃん、付言が犯罪現場に行くみたいだから、みそ漬けを出してくれ。お茶づけでも食べさせて行かせるから」
父親は冷蔵庫の中からタッパーに入ったみそ漬けを出して流しで洗った。ちゃぶ台の上には昨日の残り物の冷めた飯が茶碗に盛られて置いてある。その横には蔓の取っ手のついた丸い急須が置かれていた。
警視庁から派遣された覆面パトカーに乗せられて不動付言は首都高速の上を走った。そして郊外に出る前に下りて車は町田に入った。外国から来た雑草がちょうど目の位置にある空き地をいくつか通り過ぎて変わった彫刻の施された門のあるところに着くとすでに二、三台のパトカーがその門の中に入っているようだった。警視庁の安岡刑事が不動付言を出迎えた。
「木島警部はこっちのほうで待っています」
安岡刑事はまだ三十の前半ぐらいで事態を詳しく聞けないぐらい緊張が表れている。不動付言も詳しいことを聞きそびれてしまった。不動付言ははじめて来た場所だったがここが遊園地だということはわかった。しかし大きな会社が作ったものではなく個人がここを作ったのではないかと思った。園内の大きさは野球場くらいの大きさがある。畑か草ぼうぼうの空き地を無理に遊園地にしたようで自治体の作っている公園を巨大にしただけのように見える。横浜のさきのほうにこどもの国という施設があるがそれを小規模にしたような施設で、そこには電気で動くような遊具はない。すべてが人力で動くようだった。その遊具も工場で作られたのではなく、手作りのようだった。素朴さを売り物にしているような感じだった。園内も空き地のままで整備されていず、人の通る歩道と遊具の置かれている場所が雑草をかられて人が通れるようになっている。
安岡刑事のあとをついて迷路のような細道を歩いていくと警察の連中で人だかりになっている場所があった。その人だかりの中心になっている場所に大きな透明な土管のようなものがあった。土管は半分は透明になっているので中が見える。その見え方も少しおかしかった。土管のあたりにいた木島たかのりが安岡につれられて来た不動付言の姿を見つけてやって来た。
「おじさん、突然、家に電話をしてくるから驚きましたよ。なにがあったのですか」
「殺しだよ。それにお前の協力も得なければならない」
「あの土管みたいな中で布をかぶされているものが被害者ですか。とにかく僕に関係があるかどうか見せてくださいよ」
不動付言は木島たかのりのあとについて土管のほうに行った。それが土管ではなくて大きなアクリルの筒だということがわかった。そして土管の中が変なふうに見えていた理由もわかった。まずそれがアクリルで出来た大きな筒でその筒のたて半分が鏡面メッキされている。つまり鏡のようになっていて筒を縦に切った半分の内側が鏡のようになっているのだ。つまり土管の中から見れば凸面鏡のようになっている。そのためにその中にあるものは実際よりも大きくてゆがんで見える。
「大きな土管ですね。どのくらいの大きさがあるんですかね」
「直径が一メートル五十、筒の長さが三メートルある」
「これはなんなんです」
「作った奴に聞かなけりゃわからんよ。おっ、ご苦労」
「警部、気をつけてください。背が低いから頭をぶっけてしまいますよ」
中にいた刑事とふたりは入れ替わった。
「これだ」
木島が上にかぶせてあった布を取り去ると血液の流れが止まって蒼白となった若い女の顔が表れた。
「おっ」
不動付言は思わず声を上げた。殺人事件で死んだ女の顔を見るのははじめてだった。
「顔から下の布を上げてみようか」
「おうっ」
不動付言は最初のときより大きな制御できなない声を上げた。被害者の下に血だまりがあり、その理由がこれでわかった。
「なんですか。おじさん、これは。今は戦国時代じゃありませんよね」
長年、人の死体を見慣れてきた木島たかのりが驚いているのだから、不動付言が驚くのは当然だった。はだけられた女の胸元、ちょうど心臓の真上のあたりに長さ二メートルほどのさきの尖っている鉄製のもりが刺さっているのである。さきが尖っているらしいのはその刺さりかたでわかった。もりと言ったのはもりのように見えるということただけであって、それが本当にもりであるかどうかはわからない。とにかく長い鉄の棒である。それが若い女の胸、ちょうど心臓のあたりに刺さっている。
「むごいですね」
「なにか別の凶器で殺されて死体を冒涜するためにあとからこの鉄の棒で心臓を突き刺されているならいいのだがこれで刺されたことが死因になっている。しかし一瞬のことだったろう。鉄の棒が心臓に突き刺さった瞬間に絶命したに違いない」
「おじさん、でも、なんで僕がこの事件にかり出されたというわけですか」
木島たかのりはもとのように頭の上にナイロン製の布をかぶせた。
「こっちなんだ。不審なのは」
木島たかのりは下半身のほうにかかっている布をずりあげた。すると女の足が表れた。そしてワンピースのスカートがずり上がって太もものあたりが見える。
「これは」
「そうだ。Dの文字だ。これが付言、お前を必要としている理由だ」
女の太もものあたりに英語のDの文字が浮かんでいる。
「あの皮膚病の事件は解決したのではないのですか」
「わしもそう思っていた。発病者の症状はみんな完治して、その原因というのも食中毒の一種だという結論を得ていたからな。それが甘い見通しだったのかも知れない」
「でも、おじさん、表面的に同じ症状が現れたとしても原因が別のことだということも多いじゃないですか。偶然、同じ症状が出たということも考えられますね」
「そのことについてはわしにはわからん。わしは医者でも細菌学者でもないからな。それがお前の仕事だ」
「このお嬢さんがどこの誰かということはわからないのですか」
「彼女はさいふしか持っていなかった。そのさいふの中にはカード類も定期も入っていないんだ。やっかいな事件だよ。さらに混乱を引き起こすような遺留品もある」
「どんなものですか」
「園田くん、あれをちょっと持って来てくれないか」
木島たかのりが園田刑事を呼ぶと園田はビニール袋に入った紙片を持って来た。ビニールは透明なので中に書いてある文字も読むことができる。手帳の一ページをやぶいたもののようだった。
「これが被害者のそばに落ちていた」
木島たかのりは不動付言の前でその証拠物件をひらひらさせた。
「自分のもの」
不動付言はなぐり書きされたその紙片の文句を読んだ。
「自分のもの、どんな意味ですか、おじさん」
「この被害者がどんなものを持っていたのかわからないが、その所持物を被害者が自分のものといったのか、犯人が自分のものと言ったのか、その部分はわからない。犯人がその所持物を盗んだのかも知れない」
不動付言は自分のもの自分のものと口の中で繰り返してみた。
生きていたときはこの女性も可愛く微笑んでいたのだろう。それが今は生きていたときの輝きはなくなっている。その彼女の持っていた紙片に「自分のもの」と書かれているのはどんなことなのだろうか。不動付言には皆目見当がつかなかった。
この土管のかたちをした遊具がどんな状態かというとこの土管から三メートルぐらい離れたところにこの遊園地の外周をなしている金網がある。金網の高さは二メートルぐらい、そこにも雑草がはえていてその向こうに道路がある。土管、実際は大きなアクリル製の筒であるが半分は鏡面になっていて半分は透明なままでその透明な部分が外周のほうに向いている。
「これはなんだろうね」
「こんなものを僕もむかしどこかで見たことがありますよ。ここに入って鏡に自分の姿を映してみるとゆがんで写るんですよ。子どもが入ってちょうどよい大きさだから、子どもがここに入って自分の姿を写してびっくりするんじゃないでしょうか。おじさん」
「似たようなものがこの遊園地のあちこちにあるわけか」
そこへ刑事のひとりが木島たかのりのところにやって来た。
「被害者の胸に突き刺さっていた鉄の棒ですが同じものがあそこにあります。この遊園地の備品のようですよ」
刑事は外周の金網のほうをゆびさした。
「あそこに鎖で閉鎖されている扉がありますよね。あの向こう側に同じ鉄の棒が山と積まれています」
「あそこか」
「ええ」
「じゃあ、そこにある鉄の棒を一本引き抜いてきて被害者の心臓に突き立てたというわけか」
「しかし、どうやったと思う。よほどやりの名人でもないかぎり被害者の心臓になんの狂いもなく突き刺すことができるだろうか」
木島たかのりは疑問を呈した。
不動付言もそのことは非常に疑問を持っていた。二メートルもある鉄の棒である。重さも相当なものとなるだろう。力のある男でも簡単には扱えないと思う。
「まあ、とにかく、この鉄のもりをどうやって使ったかは棚上げだ」
木島たかのりと不動付言がその疑問が解決することが出来ず、押し黙っていると安岡刑事が小太りで背の低い頭のはげた男をつれて来た。男はしきりに目をぱちくりしている。
「警部、地図芋さんをお連れしました」
「こっちに来て頂こうか」
そばに停まっている移動交番のようなワンボックスカーの横の扉の開いているほうに木島たかのりと不動付言のふたりは地図芋と呼ばれた中年の男をつれて行った。後ろから安岡刑事もついて来る。移動交番の中は椅子も机も備えられていて中で取り調べが出来るようになっている。地図芋は神妙に構えている。「あなたがここの経営者なんですね」
「ええ」
地図芋は下を向いてつぶやいた。その横では安岡刑事が机の上で調書を書いている。
「経営者と云ってもここで働いているのは僕しかいませんよ」
「ここの正式な名称はなんというんですか」「ポッコリランド。ポッコリ村という幼児向けのテレビ番組を知っていますか。そこから名前をとったんです」
「たくさん遊具がありますね。全部、見たわけじゃないんですけど。みんな手作りのようで暖かい感じがしますね。どこで作っているんですか」
木島たかのりはちょっぴり持ち上げながら地図芋に聞いた。しかし地図芋は少しもうれしそうではなかった。
「自分で経営していてなんですが、単に空いている土地を利用するためにやっているだけなんですよ。昔はここらへんはみんな畑や雑木林だったんですよ。わたしが子どもの頃はらへんにこんなに人が住み着くようになるとは思わなかったんですよ」
「土地の有効利用のためとおっしゃいましたが、この遊園地をやろうと思ったきっかけがあったんでしょう」
「弟がいるんですけど、いっぱしの芸術家きどりでしてね。わけのわからないブランコだとか、風車だとかをいっぱい作っているんです。これらの遊具はここで展示していて遊べるだけではなくて売り物でもあるんですよ。今まで売れたことはないんですけど。中には本当に変なものもあるんですよ」
「弟さんの協力でこの遊園地をやっているんですか。さっき地図芋さんはここで働いているのは地図芋さんひとりだけだと言っていましたよね。具体的にどういうことなのか、教えてもらえますか」
「ここはこれでも入るには入園料をとるんです。そこで入り口を見ましたよね。あそこに小さな事務所を開いていて入って来るお客さんから入園料をとるんです。でも平日だと一日に二十人くらいの客が入るかどうかというところですね。だいたいが小さな子どもをつれた母子づれが多いんです。そしてあとは園内の掃除と何カ所かに置いてあるジュースの自動販売機にジュースの補充とかをするんです」
不動付言も木島たかのりもちらりとその遊具を見ただけだったがなかには変な遊具もあったようだ。きっとその芸術家の弟というのが作ったのだろう。
「それでこの死体を発見したのは今日の朝なんですね」
「そうです。園内を一回り掃除をしているとあの土管の中に変わったものがあったでしょう。そばに行ってみると下のところは血だらけになっていますし、そばに行くと若い女が死んでいたんです」
「その女の人の顔を見たと思いますが、知っている人ですか」
「いいえ。まったく見たことがありません。はじめて見た顔です」
地図芋は大げさに否定した。
「でも、この園内にいた人でしょう。昨日のうちに入ったのではないでしょうか」
「そうかも知れませんが覚えていませんよ。入ってくるお客さんの顔を全部覚えているわけじゃないし、事務所の中では暇なもんだから本を読みながら店番をしていますしね」
「昨日の客は何人ぐらい入ったんですか」
「帳簿の上では十七人となっています。でも、外周になっている金網を見たらわかると思うんですけど、ところどころ穴が空いているでしょう。それに子どもだったらあんな金網を乗り越えるなんて簡単なことですよ。だから昨日、この園内に何人の人が入ったなんて言われてもちょっとわからないですよ」
それから木島みつのりはさっき拾った紙片をとりだした。
「こんな紙片を拾ったんです。死体のそばでですね。見覚えはありませんか」
地図芋はビニールに入ったその紙片をのぞき込んだ。手帳の切れ端には「自分のものだ」と書かれている。地図芋はその紙片を見て目をぱちくりさせた。
「知りません」
「昨日もそこを掃除したわけですよね。同じ紙片があったかどうかは覚えていませんか」
「わかりません」
不動付言はそれは聞くほうが無理だと思った。あとで署まで来てもらうかも知れないと言われて地図芋はそのワゴン車の中から出て行った。
「この紙片が誰のものか指紋を調べなければならないな」
木島たかのりは出て行く地図芋を見ながら言った。
「まず、被害者がどこの誰だか特定しなければならないな」
木島たかのりはポラロイドに写された被害者の顔を見ながらつぶやいた。
「死人の顔にしてはこの女性、可愛い顔をしていると思いませんか。生きていたら、きっと相当可愛いですよ」
「そうかな。付言はどう思う」
木島たかのりはその写真を見ながら不動付言に聞いてきた。
不動付言も初めて見た殺人被害者の写真だったが、そういう印象を受けた。帰ったと思った地図芋がどうしたのかのろのろと戻って来たので不動付言は不審に思った。
「地図芋さん、どうしたんですか」
「昨日、事務所にいたら変なことがあったんです。なんでも気がついたことはお話しておいたほうがいいと思ったんでお話するんですけど」
「どんなことですか。なんでもいいから、話して下さい」
安岡刑事はふたたび調書を前にしてペンをとった。地図芋は今度はワゴン車の中に上がってこないでその前に立って話し始めた。
「ここは七時に閉園になるんです。その三十分くらい前のことでした。山岡荘八の徳川家康を読みながら閉園の時間を待っていたんです。事務所の時計を見ると六時四十分でした。ちょうど徳川家康が姉川の戦いの場面でした。ちょうどそのとき入り口のドアのところでコツンという音がして誰かが来たのかなと思いました。それでドアのほうを見たんですがドアの窓のところには誰もいませんでした。そしてどうしたんだろうと思いながらまた徳川家康を読み始めたんです。そしたら今度は窓のところに黒い影が見えて、耳をすますとばたばたという音がするじゃありませんか。今度はどうしたんだろうと思って入り口のドアのところに行き、ドアを開けると誰もいませんでした。おかしいと思ってまたドアをしめようとしたんです。そしたらドアの前のコンクリートのところに黒い風呂敷みたいなものがあるのでおかしいと思ってよく見るとその風呂敷が豚みたいな鼻をして顔を上に上げたんですよ。それはこうもりだったんですよ。私に気づいてこうもりは再び飛び上がって宵闇の中を飛んでいきました。そしてわたしもそっちの方を見たら空中を何十匹というこうもりが私の園の頭上を飛んでいるんですよ。わたしも気味が悪かったんですが一方でその姿に見とれてしまいました。しかしそれを十分くらい見とれていましたでしょうか。また集団でこうもりはどこかに飛んで行ってしまいました。気味が悪かったんですが、面倒くさかったのでそれを調べずにそのまま七時に帰ってしまったんです」
「そんなことは今まで何度かあったのですか」
「一度もそんなことはなかったですよ」
地図芋はそれだけの話をすると家に帰って行った。しばらくこの園を閉鎖するという話しになったが地図芋はお金をもうけるためにやっているのではないといい、それになんのためらいもなく同意した。死体は通常は警視庁で引き取るのだが、伝染病研究所に運ばれ、そこの医師の手で解剖調査されることになった。もちろん警視庁の解剖医立ち会いのもとである。
不動付言が自宅の瀬戸物屋に戻ると隣の平家みちよが付言の部屋に上がり込んでいた。平家みちよは素足で付言の部屋の畳にべったりと座って付言の本棚から何冊かの漫画本を取りだして読んでいる。母親がよけいなことをしたらしく、飲み物類も盆に入れられ置かれていた。
「ここは漫画喫茶じゃないんだけど」
不動付言は自分の部屋に上がるとまっさきにそう言った。しかし平家みちよはそんなことは少しも気にしていないようだった。
「付言くん、まだこんな漫画をとって置いたの」
平家みちよは今から十年ぐらい前に発売された漫画を本箱から取り出して読んでいた。平家みちよの膝小僧が畳みの上で生々しく見える。不動付言は思ったより彼女の膝小僧はつるつるしているなと思った。しかし平家みちよが自分で化粧クリームを塗って手入れをしているということまで考えが回らなかった。
「随分前の漫画じゃないの」
不動付言はその漫画が好きだったわけではないがなぜ自分でもとって置いたのかよくわからなかった。
「事件だったんだって」
「そうだ。殺人事件だ。みちよと同じくらいの女が殺された。それも閑古鳥が鳴いている遊園地でだ。それも普通の殺されかたではない。心臓に鉄のもりを突き刺されて殺されたんだ」
「被害者の顔を見たの」
「見たよ」
「どんなだった」
「血の気がなくなって青白くなっていた」
「でも、そんなひどい殺されかたをしたのになんでニュースに出ないの。夕方のニュースを見たけどでなかったわよ」
「明日のニュースには出るだろう。でもわからないんだよな。その鉄のもりというのが二メートルもあるんだぜ。それが致命傷になっているんだけど、どうやってうまく心臓に突き刺したのかわからないんだよ」
「心臓にもりを突き刺したなんて吸血鬼の話しみたいね」
不動付言ははっとした。そう言えば吸血鬼の話しのようだ。吸血鬼は心臓に杭を打ち付けられる。それは吸血鬼の復活を阻止するためだが。そしてもう一つ不思議な話がある。地図芋のした話しだ。宵闇に乱舞するこうもりの話しだ。
「殺人があったその前の日に無数のこうもりが乱舞していたんだ。信じられるかい」
「不思議な話ね」
平家みちよは不動付言の瞳を見ながら言った。
蝙蝠光線 @tunetika
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