第5話 ギロッポンてなん? ギョーカイ用語なんてしりまっせーん

はい、約束の金曜になりました。


あたしは講義を受けた後、雅美と美奈子と3人で渋谷へ来ております。


 oh… ヒカリエが無い… なんか違和感ぱないわ。


PARCO、○I○I、109と巡って、どうしてもボディコンか、シャネルスーツ(っぽいナニカ。しかも原色!派手!)を着せたい2人と、ナチュラルティストのガーリースタイルを推したいあたしとの攻防でなかなか決まらなかったけど、最終的にオフホワイトのニットワンピとキャメルのショートブーツにした。 え、いいやん、かわいいやんとあたしは思うのだが、2人は不満のようだ。 知らんがな。 


服はそのまま着ていきますと店員さんに伝え、着てきた服を袋に入れてもらった。


メイクは勿論自前で.... 2人に任せたらあかん。自分の顔見て腹筋崩壊する自信があるもん。



買い物を終えたあたし達3人は、センター街で適当に入った店で軽く食事をしてからディスコに移動することにした。


「それで何処のディスコに行くの? 渋谷?新宿?芝浦?」

「え~? 渋谷と新宿はわかるけどぉ、芝浦ってゴールド~?」


(しまった、もしかしてジュリアナってまだないのかな…)


「ん~それかな? ごめん、あたし上京してきたばかりだから、よくわかんなくて」

「そっかそっか、とりあえず今日は六本木行くよ。ギロッポン! 後で迎えがくるらしいから、ゆっくり待ってよう」


迎え… 電車で行くんじゃないのかぁ。 親って事はないだろうから、友達かな? 兄弟とか…


食事を終えてしばらくそのまま待っていると、なかなか身なりの良さそうな青年が近づいてきた。


「ごめんミナちゃん、待たせたかな?」

「あ、まなぶく~ん! まさみとせりかとお喋りしてたから大丈夫ぅ~」

「そっか、で、この子達がマサミさんと…セリカさん?」


やってきた青年が美奈子に蕩けそうな顔を向けた後、こちらに視線をよこしてきた。 あ、すみませんね。なんかお邪魔な雰囲気で。 


「うん、そうなの~。 大学のお友達の鈴原雅美ちゃんとぉ~豊田芹香ちゃん~。 マサミ、セリカ~こちら美奈子のオトモダチの~芦田学くん~。」


そうかそうか、オトモダチなのか… 彼氏じゃないのか… これってアレかな? 所謂アッシー君? いや、まさか…ね?






******





外苑通り六本木交差点を少し過ぎたあたりで芦田君の車から降り、ここからディスコへ向かうそうだ。 


気になったので、車を降りて少ししてから美奈子に『芦田さんて、美奈子の彼氏じゃないの? 美奈子の事随分と熱っぽい目で見てたよ?』って聞いたら『う~ん? まなぶくんはぁ~オトモダチだよ~? 美奈子は大好きな彼氏いるも~ん』と言われた。やっぱり芦田君はアッシーだった。 芦田だけに。 



少し歩くと見えてきたビル。 このビルはディスコが複数入っていて、今日はそのうちの一軒にいくらしい。 


「はードキドキする…」

「やだ、芹香ったら緊張してるの? だーいじょうぶだってー! 音楽に合わせて踊ればいいだけだよ。 なんなら体揺らすだけでも大丈夫」

「そんなもん?」

「そんなもんよぅ~。 ほらぁ、もう着いたぁ~」


エレベーターが開くとすぐ扉があって、その横には黒スーツをきたお兄さんが立っていた。 ほう、これが所謂『黒服』ってヤツか。前世のママが言ってたな。






※バブル期の象徴のように言われている『ジュリアナ東京』ですが、調べてみるとなんとジュリアナの歴史はバブルが弾けた1991~らしいっす。 びっくりですね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る