第6話 過去②
私が高校2年生になる少し前ぐらいから我が家に新しい家族が出来た。
父が一目惚れをしてしまったらしくペットショップから買ってきたベンガルの子猫だ。
まるでヒョウのようにも見える美しいトラ柄。触るともこもこで気持ちいい肌触り。少し、つり目だけど愛くるしい瞳。そして、野生の血を引いているはずなのに、甘えん坊なところ。たしかに父が連れて帰ってきたくなる気持ちも分からないでもない。
ゲージに入れて、父が猫と共に帰って来た日は
例の如く、夫婦喧嘩から始まった。うちにペットを飼う余裕はないとか、どうせ貴方は世話にすぐに飽きて結局は私の負担になるじゃないとか。
2人を見ているとどうして結婚して夫婦になったのか疑問に思う。
好き同士だったはずで愛し合っていたから結ばれたんじゃないの?その結果、私が産まれてきたはずなのに...。愛には終わりがあることを私は若干17歳にして悟っていた。
結局、最初は飼うことに反対していた母も子猫の可愛さに負け、1週間経った頃にはモモと名付け 溺愛していた。
両親の仲もモモが居ることで衝突することが少なくなり、少しの間だけ平和な日常が続いた。
でも、ある日私がたまたま学校から帰宅する時間が早い時があった。玄関の鍵をあけ、ドアを開けるとモモがお座りをして待っていた。
モモを抱き上げ、リビングまで移動すると、いつもリビングでテレビを見ている母の姿はなかった。
きっと、買い物にでも行っているんだろう。
夏特有の生暖かい風邪があたり、不思議に思い、
バルコニーの窓を見ると、母は急いで居たのか窓は空いたまま、洗濯は干しているものとカゴに入れたままのもも明らかに中途半端で終わっている。
何かあったのだろうかと疑問に思いつつ、私はあることを思いついてしまった。
してはいけないと、やってはいけないと頭の中では理解している。でも、こんなチャンス2度とないからもしれない。
「モモ、ごめんね...」
私は抱いていたモモを床に乱暴に落とし、テーブルの鉛筆立てに置いてあったハサミを思いっきりモモに突き立てた。
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