第7話 伝承

おじいさんと俺は山を降り、家に着いた。


家の空気は、


重かった。


『桃太郎、3歳のお前に言っていいものか、言ったところで覚えていられるか疑問だが話しておく』

悪いが、体は3歳でも中身は大人だから大丈夫さ

とはおじいさんには言えないのが苦労するところ


『おじいさん、大丈夫だよ。ちゃんと覚えていられるよ』


『おばあさん、伝承の巻物モモタロウ・スクロールを持ってきてくれ』

『いいんだね、おじいさん?持ってくるよ』

モモタロウ・スクロール……一体、そこに何が書かれているんだ?


『悪いな、おばあさん』

おじいさんは、モモタロウ・スクロールを手に取り

『モモタロウ・スクロール、開けオープン

おじいさんは巻物に横に指をなぞった。


端末モニターが現れ

モモタロウ・スクロールをオープンさせますか?

と表示された。

おじいさんは迷わず、モニターの【はい】のカーソルを選択した。


モニター上には

【モモタロウ・スクロールのオープンが指令オーダーされました。伝承起動します。】


【申請者は、スクロール記述の詠唱を行ってください】


おじいさんは、巻物に書いてある文章を読んでいった。


『鬼の力が、強まるときに恵みの水源より桃より生まれし桃太郎現れる。桃太郎を拾ったヒューマンは、その桃太郎を育て16の歳に3の種族に会い、四種族の力を合わせ鬼を倒す。桃太郎は、別の世界の住人であり鬼を倒したと同時に元の世界へ戻るだろう』


元の世界に戻る?鬼を倒したら?本当なのか


【詠唱完了、次に桃太郎になるものを指定してください。】


『桃太郎、モニターの色彩チェックをしてくれ』

色彩チェック?目のことか?


桃太郎はモニターの色彩チェック画面に目線を合わせた。

【色彩チェック及び登録完了】

【次に、共和の宝玉きびだんごボールを出力します。】


き、きびだんごボール!?なんて、センスのないネーミング……


ボール?宝玉?が3つ出てきた。

【黄色……ウルフ族用宝玉(犬)】

【緑色……エルフ族用宝玉(きじ)】

【赤色……オーガ族用宝玉(さる)】

やっぱり、まるであのお伽噺みたいだ。


【注意点 共和の宝玉は登録した桃太郎のみが使用可能です。宝玉使用時は、相手の種族が桃太郎を認めた場合のみ可能です。】

【以上、伝承システムを終了します。モモタロウ・スクロールはこれよりロックがかかります。】


カチャカチャ

【ロックされました】


『ふぅ、何とか終わったのう』

『おじいさん、俺はこれからどうすればいいの?』


『桃太郎、お前はまだ小さい!これからは、修行して強くなるのだ。』


『わかったよ、おじいさんおばあさん!俺は強くなって、鬼を倒す!』



次回『元・桃太郎』

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