第14話 そしてもう一人
執事さんの運転で連れてこられたのは、鷲手地区のタワーマンション。光さんの家だ。でも場所は知ってたけど、思ってたよりだいぶ豪華で驚いたよ。
騒動が落ち着くまではここでゆっくりしておくといい、みたいなことを言われて案内されたんだけど、置いてあるものが何もかも豪華すぎてわたしはおっかなびっくりだった。豪華だけど嫌味じゃないのがなんとなくわかるから、余計だ。
執事さんが気を利かせて紅茶やお茶菓子まで用意してくれた(自販機で売ってるやつよりびっくりするくらいおいしかった!)けど、緊張してる理由の大部分はそういうところですから。言えなかったけどさ!
まあ、そんな中にマンガとかファッション誌とかが数冊ずつ置いてあったのがすごく場違い感あって、多少は緊張もほぐれたよ。少し前までまったく触ったこともなかっただろうに、いつの間にか自分でも買うようになってたんだなってちょっと感動したよ。
ただそれでも間が持たなくてぼんやりしてたんだけど、花房さんのスマホに来た通知から柊市で集団幻覚なんて速報が流れてきて三人で苦笑いする。委員長なんて、げんなりした様子でため息をついたくらいだ。
「あれが幻覚なんて絶対嘘よ……」
「そうだな……」
「うん、本物だった……」
わさわさとたくさんの脚を動かして近づいてくる大きなクモの姿を思い出して、わたしはぶるりと震える。うう、思い出したくないけどしばらくは忘れられそうにないや。
そのまま三人でしばらくニュースを追いかけてたけど……そのうち代わり映えしなくなってきて、また話が途切れがちになる。
だけどここで、遂に委員長がわたしたちに声をかけてきた。その顔はなんだか覚悟を決めたような感じで、わたしはああ話さないといけないんだろうな、ってなんとなく思った。
「……ねえ二人とも。何か知ってるんでしょ? 一体何が起きてるの?」
ほらね。
予想通りの質問に、わたしは思わず姿勢を正した。
それから花房さんと顔を合わせて、少しだけ二人で確認する。
「えーっと、これあたしたちから言っていいのかな?」
「わたしたちが知ってることならいいんじゃないかな? 細かいところはどっちみち知らないんだし……」
「それもそーか」
花房さんが頷いたところで、改めて委員長と向き合う。その後ろでは、立ったまま控えてた執事さんも頷いてたし、本当に言っちゃっていいんだろう。
よし。うまく説明できるかはわかんないけど、頑張ってみよう。
「えーとね、光さんは魔法少女なんだよ」
「……えっと」
「リアルマジピュアって感じかな。あのバケモノとかと戦ってるの」
「あれと……」
うん、って頷いてわたしは続ける。
今、この街で大変なことが起こりかけてること。光さんがそれをとめるために戦ってること。あと、だからたまに学校を休んだり早退すること。
花房さんも足りてないところを付け加えてくれたりしながら、一緒に一通りのことを話せたと思う。委員長はまだ信じきれてないみたいだけど。
「で、わたしも花房さんも、光さんに助けてもらっててね。それもあって仲直りしたんだよ」
「そういうこと。だからまあ、なんて言うか。トー子が急にいなくなるのは、どっかで誰かがやべーときなんだ」
花房さんのその言葉で、一旦話は終わった。知ってることはこれでほとんど話したと思う。
「だから、光さんのことあんまり言わないであげてほしいなって。誰かのために人知れず戦ってるんだからさ」
「……そうだとしても、勝手にやってはいけないことはいけないことよ。むしろ、そういう大事なことこそちゃんと人に言わないと」
ところが、委員長の返事はこう。
わたしと花房さんは思わず言葉を失ったよね。すぐに二人して抗議したけどさ。
「おま……おんまえ、ほんっと頭固いよなぁ」
「少しくらいよくない? だって、そんなことしてる間に誰かが死んじゃうかもしれないんだよ?」
「ダメなものはダメよ。というか、そもそもおかしくないかしら? なんで私たちと同じ小学生の光さんが、そんな危ない仕事をしているの? 普通大人の人がやるべきじゃないの?」
ダメだ、わかってくれそうにない。思わずため息をついちゃったよ。悪い子じゃないのに、なんで話が通じないんだろう。
すると、後ろからいきなり声が聞こえてきた。
「その問いに答えよう」
「うわっ、光さん!?」
慌てて振り返ったら、そこには光さんがいた。
「い、今どうやって出てきたのよ!?」
「瞬間移動じゃな。ワープと言えばわかるかのう? それはともかく、わしが戦う理由じゃがな」
とんでもないことを当たり前のことみたいにさらっと流して、光さんがわたしの隣に座った。
同時に執事さんが光さんにコーヒーを運んできて、目の前に置く。紅茶じゃないんだ?
光さんはそれをブラックのまま手に取ると、少しも冷ますことなく口をつけて。
それからゆっくりと話を再開した。
「わしが一番強いから、じゃ」
「ええ……? 小学生が一番って……そんなのおかしくないかしら?」
「どこも。魔法の世界に年齢は関係ないからな。強いやつは強い。そしてな、魔法界では強ければ強いほど義務が生じるんじゃよ。守るために戦う義務がな」
「いや関係あるでしょ!? 強くったって私たち子供なのに!」
「と言われてもな。わしにとってはこれが普通なんじゃが」
「おかしいから! そんなの普通じゃないわよ!」
言い切った委員長に、光さんは苦笑いした。普段の喋り方がアレなだけに、なんだか子供を説得してるおばあちゃんみたいな仕草だ。
だけどそうしてたのは少しだけ。光さんはそれまでとは違って目を細めて、怒るように声を出した。
「手前の狭い『普通』で相手の『普通』を否定するのは楽しいか?」
冷たい声だった。いつもの彼女とは全然違う。
ああでも、花房さんにケンカ売ったときがこんな声だったっけ。そう思って彼女のほうにちらっと目を向けると、同じことを思ったのかちょっと居心地が悪そうだった。
委員長はもっと悪そうだ。光さんが言ったことの意味がわかったからなのか、明らかにうろたえてる。
「普通なぞ、ところ変われば変わるもんじゃろうが。お主がやっておることは、外国で日本の法律を持ち出してその土地の人間を勝手に断罪するようなもんじゃぞ」
「ち、……ちが、私、そんなつもりじゃ」
「お主にそのつもりがなくとも、実態はそうであろう。そしてそのつもりがなくとも、ならぬものはならぬ……そうではないか、奏よ?」
いつか委員長が言ったようなことを言って、光さんがじろりとにらんだ。バケモノを見るときと同じ……ではさすがにないけど、少なくとも友達に向けるものじゃない。
それを横から見てたわたしでも怖くて背中がぞわっとしたんだから、真正面から向けられた委員長はもっと怖かったと思う。
いつもの彼女ならすぐに言い返してる場面だけど、うまく言葉を出せないみたいだから、間違いない気がする。
しばらくそのまま、ものすごく気まずい空気の中で誰も何も言わない状態が続いた。下手なことは言えない雰囲気だ。
けど、それを光さん本人がかき消した。今まであった怖い気配が消えて、いつもの光さんになる。
「とはいえ、わしも魔法使いの常識や決まりが、非魔法使いのそれとは異なることは理解しておる。いたずらに公にしていいものでもないから、それが知られておらんこともな。じゃからお主の言い分も間違っておらん。
されど正しければ何を言っていいわけでもないい。いや、むしろ正しければ正しいほど、言い方は気をつけねばならんと思うが、いかがかのう?」
「……う、うん……」
いや、おばあちゃん感あるほうの光さんだった。ゆっくりと言い聞かせる感じの、穏やかな話し方だ。
今までとのギャップがすごい。委員長もちょっと戸惑ってる。
「わかれば良い。お主は頭が良いし、これ以上はしつこいだけじゃろう。この話はこれで終いじゃ」
そして光さんはそう締めくくって、コーヒーに手を伸ばした。喉がかわいてたのか、そのまま一気に全部飲み干しちゃったのはなかなか豪快な姿だった。
で、執事さんがすぐに新しいコーヒーを持ってきた。仕事が早い。
それからわたしたちにもおかわりがいるかどうか聞いてきた。まだ紅茶は残ってるけど……って言ったら冷めてるだろう交換しようと思う、って返ってきて白目になるところだったよ。もったいなくて断っちゃったよね。
そこからわたしたちは改めて、話を再開した。
とは言っても、基本的に委員長が聞いて光さんが答えるって形だ。中には初めて聞く話もあったから、そこはためになったよね。いや、わたしも花房さんもあんまり深く考えてなかったってことなんだけどさ。
「今この街には、複数の勢力がそれぞれの目的のために集まって争っておる。いずれも顔ぶれ、目的は違うが、手段としてこの街に封印された古代の……あー、怪獣のような存在を解き放とうとしていることは共通じゃ」
なんて聞いたときは、三人とも驚きすぎて黙るしかなかったよね。
こんな日本のよくある街にそんなのいたんだ。怖くて住んでられなくなっちゃうじゃん。
って言ったら、
「日本どころか世界中にそういう封印があるぞ? 日本はむしろ少ないほうじゃよ」
なんて返されて、もっと黙らされたけどね……。
「でもそれなら、どうして魔法は秘密なの? そんな恐ろしいものがあちこちにいるなら、魔法使いを増やして対抗するとか、やりようはあると思うけど……」
「なんか、魔法を使いすぎると悪魔になっちゃうらしいよ」
調子を取り戻した委員長の質問がわたしにもわかるやつだったから答えたら、彼女はぎょっとしてた。
うん、わかるよ。わたしもこれ聞かされたとき同じような反応したし。
「じゃあ光さんは!」
「それだけの訓練を積んでおる。まともに訓練をしておらん一般人だと、数回使っただけで悪魔堕ちじゃろうがな」
「だからって普段からちょくちょく使うのってどうなんだよ?」
「休み休み使えば問題はないということじゃよ。ならば便利なものは使わねば損じゃろ?」
花房さんのツッコミに、光さんはいたずらっ子の顔で笑った。
ええ……いいのかなぁ……。
「……それってやっていいことなの? 魔法って、できるだけ気づかれないようにしてるって言ってたじゃない」
ほら。委員長の前でそういうこと言うとすぐに言われるよ?
「バレなければいいんじゃよ、バレなければ」
「いや、ダメでしょそれ。私たちと魔法使いの普通は違うでしょうけど、決まりを破っちゃいけないのは一緒でしょ?」
「ところがどっこい、魔法界の法律では功績で罪科を打ち消せるんじゃよなぁ」
「そんなことってある!?」
「残念ながらあるんじゃよなぁ」
悲鳴に近いツッコミを入れた委員長に、光さんが笑う。
委員長は当然、納得してないみたいだったけど……。
「なんなら読むか?」
光さんが差し出した本のタイトルを見て、速攻で頷いてた。
……差し出した手には最初何もなかったのに、テーブルの半分くらいを過ぎたところで、いつの間にか分厚い本が握られてた。もう驚かないぞ。光さん、ちょくちょくこういうことするもん。
ちなみ書かれてたタイトルは「魔法使い法」。そのまんますぎる。ていうか、そんな法律あったんだね?
ともあれ委員長はそれを受け取って、すぐに読み始めた。
わたしも花房さんも、中が気になって身体を乗り出したけど……うげぇ、すごい細かい文字がびっしり! あんなの読んでても秒で寝ちゃう自信しかないよ。もしかして光さん、これを全部暗記してるとかないよね……?
「さっき言った功罪相殺に関しては、確か百三十三ページ辺りだったかのう」
暗記してるやつだこれ! すごい通り越して怖いよ!
だけど、言われた通りにそこを開いて読み始める委員長もすごい。絶対まだ習ってない漢字とかもあるっぽいのに。わたしなんて最初の数行だけでも読める気がしないぞ。この辺りはさすが、光さんが来るまではクラスで一番だっただけはあるなぁ。
「……本当に書かれてたわ……」
で、少しして。光さんが言ったことを確認し終わったからか、委員長は大きなため息をついた。
「……でも光さん、いくら打ち消されるって言っても、やっぱりダメなことはしないほうがいいと思うわよ? せっかくいいことをしても、なかったことにされちゃうなんてもったいないじゃない」
「別に気にしておらんがのう」
「気にしてよ!? というか、私が気になるの! クラスメイトががんばってるのに、それが普段の生活態度でなかったことにされるなんて!」
「お主はまっこと、真面目じゃのう……どちらかというとクソ真面目の類じゃがな……」
「そこまで言わなくてもよくない!?」
今度は光さんがため息をついた。言ってることには賛成だけど、でも今回は委員長にも賛成だぞ。
だからうんうん頷いてたら、光さんも気づいたみたいで気まずそうにほっぺを指でかいた。
それを見て、委員長はツッコむ気力をなくしたのか、メガネの位置を直しながら返事みたいに大きなため息をはいた。
だけど話はこれで終わりじゃなかった。
「……それはそうと光さん、また別の話になるんだけど」
「うん?」
彼女は光さんが応じたのに合わせて、持ってた分厚い本をめくりながらこっちに見せてきた。
見せられたのは、本の最初のほう。なんか、序文みたいな感じのサブタイトルがついてる。
「ここには『魔法使い法とその他の法が抵触したとき、魔法使い法が優先される』って書いてあるんだけど」
「うむ、そうじゃな。非魔法界の規則に違反しても、魔法界の規則で合法であればそれは合法として処理される」
「私おかしいと思うの。だって本当に魔法使いのルールが優先されるんだとしても、私たちはそんなの知らされてないんだもの」
「んー、それは確かにその通りなのじゃが、かといって魔法界も、下手に魔法や怪異を公にできんしのう……」
「いや、そうじゃなくて」
「というと?」
腕を組みながら答えたのを遮られて、光さんが首を傾げる。彼女の青い目が、委員長の目にまっすぐ向けられた。
その委員長の目が……というよりはメガネが、なんだか光ったような気がした。
「光さん、無断で欠席とか早退してたじゃない。あれはこのルールに従うなら確かに光さんは悪くないんだと思うけど……もうちょっと何かやり方があったんじゃないかしら? 手間かもしれないけど、事前に一言あれば私だってあんなに追いかけなかったと思うし」
「む……確かに、そこはわしの落ち度じゃな。別の理由をでっち上げて正式な許可は取っておくかのう」
「ぜひそうして。それにそうしておかないと、もしかして本当にサボってたりしてても見分けがつかないもの」
……なんて言うか、うん。やっぱり委員長は委員長だ。細かい。
「うん、そうよ。そこはちゃんと確認しておかないといけないんじゃないかしら? ねえ光さん、バケモノ退治に行くのはいいけど、その証拠って毎回見せてもらうのはできないの?」
「……既に『知った』お主に対してであれば、規則上は問題ないな」
「じゃあぜひそうして!」
「……わかった」
わ、光さんがすんごい渋い顔をしてる……。
反対に、委員長はようやく納得できたのか、いい顔になってる。
「そうだわ。私この本を読んで、光さんがルールを守ってるのかチェックするわ。それでもし違反してたら、報告しないと!」
でもって、そう宣言した。まさに委員長。
「いや、それ以上はやめてくれ。本当に」
「それは光さん次第ね」
「ぐぬぅ……」
あ、光さんが負けた。そんなこともあるんだ……すごい珍しいものを見た気がする。
ていうか委員長、いい笑顔だけどもしかしてこれ仕返しだったりする?
と、ここで何かに気づいたのか、今まで難しい話には入ろうとしなかった花房さんが、光さんを指さして口を開いた。
「トー子お前……もしかして、マジで何回かサボってたりするんじゃね?」
「い、いや、そんなことはないぞ。うむ。駆けつけても戦闘が発生しなかったことは何度もあるし、あるいは他のものに先を越されたことも確かにあるが、そのときは周辺の警ら……あー、パトロールに当てておったし」
「それって、なんもなかったらぶっちゃけただの散歩じゃん。買い食いとかし放題だよなぁ?」
「あー! あーあー、それはそうとお主ら、そろそろ六時も半ばじゃが門限は良いのか!?」
「確かにそうね……花房さんいいこと言ったわ。ねえ光さん、そこのところどうなの?」
「いや! そのようなことはしておらんぞ! 天地神明に誓って!」
「本当かしら……その慌てよう、あやしいわね」
「本当じゃとも! 信じてくれ本当じゃ! 買い食いなぞしておらん!」
「買い食い『なぞ』……? じゃあ、それ以外には?」
「……主に本屋で漫画などを買うており申した」
あ、白状した。
だけど、それを言う光さんの勢いがあんまりにも弱くて、いつもの彼女とは全然反対で……なんだかすごく面白くて、わたしは思わず吹き出しちゃったよ。
そうしてても光さんはかわいいんだけど、そんなの委員長に通じるわけなくて。
わたしには委員長の頭にツノが生えたように見えたよね!
「ひーかーりーさんー!?」
「いや出来心で! 借りていた漫画の続きが平積みになっているのが見えてついじゃな!」
「パトロール中になんてことしてるのよ! お巡りさんと違ってあなた見た目は小学生なんだから、立ち寄っても防犯効果なんて出ないでしょ!」
「……泉美! 樹里愛! 助けてくれ、こやつものすごく面倒じゃぞ!」
「面倒とは失礼ね!」
「ぶっはははは!」
「あははははは!」
無理、もー限界! これ以上はガマンできない!
わたしは花房さんと一緒に、お腹を抱えて爆笑する。彼女は涙が出るくらい笑ってるけど、たぶんわたしもおんなじ感じだと思う。
だって、あの光さんが委員長に追いかけられながら、わたしたちに助けを求めてるんだよ? なんでもできて、いつも誰にも負けないカッコかわいい光さんが!
ついさっきまで、委員長を言葉で圧倒してたはずの光さんが! 完全に逆転されて困ってるなんて!
こんなの、笑わないほうが難しいよ!
「何を爆笑しておるか!? 親友の危機じゃろ!?」
「いやいや光さん、今回は光さんが悪いよ。仕事って言いながらマンガ買ってるのはズルいもん」
「そうそう。でもこれで、トー子も完全にうちのクラスの仲間だな!」
「は? なんじゃそれ、わしは既に……」
「いや、うちのクラスで委員長のお説教受けたことないやつ、トー子だけだったからな」
「だね。でもこれで、光さんも怒られ仲間だよ!」
「『ぐっ』ではない! そこは親指を立てるところではないじゃろ!」
「話は終わったかしら?」
「ぬあー!?」
あ、光さんが羽交い締めにされた。光さんならあれもあっさり抜けられるか、なんなら返せるまで余裕だと思うけど……。
それをしないってことは、アレだね。光さんも、なんだかんだ怒られるのはもう受け入れてるんだよねきっと!
「離せ奏、それ以上はいかん!」
そのまま委員長に引きずられていく光さんの姿に、わたしと花房さんはもう一度声を上げて笑う。
少し前にバケモノが襲われたなんて思えないくらい、平和な時間だった。
怖い目にはあいたくないけど……でも、こういう時間なら大歓迎だ。こんな時間がずっと続けばいいのになぁ。
わたしはわりと本気で、そう思った。
ちなみに委員長の光さんへのお説教は、家の門限もあって思ってたよりもかなりあっさり終わった。わたしと花房さんがちょっとがっかりしたのはここだけの話。
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