第2話
「レイ!」
今日も眩しいばかりの皇太子殿下の笑顔が私に向けられる。
「エドワード様。」
私も皇太子殿下に会うことが出来て嬉しくて満面の笑みを見せる。
キラキラと輝く皇太子殿下の笑顔は、その金色に輝く髪と相まってとても神々しく見える。
皇太子殿下は、笑顔を振りまいて小走りで私の方に近寄ってきた。
首筋でひとつに纏められた長い髪が走ると左右に揺れる。
今日も皇太子殿下は、神々しいくらいにステキです。
「レイ、エディと呼んで?」
「侍女がおります。二人きりの時なら………。」
私に触れる皇太子殿下の長い指。
頬に添えられた皇太子殿下の暖かい手のひら。
両手で頬を優しく包まれて、顔を少し上向きにされる。
「………エディ。」
「よくできました。」
乞われるような眼差しに負けて、皇太子殿下の愛称を呼べば、満足したような笑みを返された。
それとともに、ゆっくりと近づいてくる皇太子殿下の美しい顔。
………キスされる。
そう思ってゆっくりと目を瞑れば、案の定優しいキスが私の唇にふってきた。
「レイ、私のレイチェル。今日も君は綺麗だね。愛しているよ。」
「私もですわ。エディ。」
優しい皇太子殿下の愛に包まれて今、私は最高潮に幸せです。
包み込むように抱きしめてくる皇太子殿下の腕の中で幸せを噛み締める。
「レイ。こうしてずっと抱きしめていたい。早く婚姻を結びたいのに………。あと一年立たないと婚姻を結べないだなんて。」
「仕方ありません。この国では18に満たない男性は結婚できないのですから、皇太子であるエドワード様が率先してそれを破ることなどできません。」
「わかっているよ。それでも、とてももどかしい。早くレイチェルを身体だけではなく、名実ともに僕のものにしてしまいたいよ。でないと誰かに愛しい君を奪われてしまいそうだ。」
「私も、エドワード様がどなたかに取られてしまうのではないかと心配ですわ。」
皇太子殿下にとても愛されているのは、わかっている。わかってはいるが、皇太子殿下はとても魅力的な男性なのだ。
容姿にも優れているし、性格もすぐれており皇太子殿下という肩書きをもつ。また、気品を持ち合わせており王族としての威厳もある。
政治的手腕もまだ17だというのに遺憾なく発揮されていると聞く。
そんな人物、誰だって欲しくなるに決まっている。
私はごくごく普通の公爵令嬢だし。
自慢なのは、皇太子殿下と同じ黄金に輝く髪だけだ。
「心配はいらないよ。私にはレイだけだから。」
そう言って皇太子殿下は優しく微笑んだ。私も同じように微笑む。
「私もエディだけですわ。」
互いに抱き締めあってお互いの想いを確認し合う。
「レイ。異世界からの迷い人がこの国にもやってきたらしい。とても優秀な人物で来月から王宮で働くことになる。しばらくは私もサポートにまわることになるだろう。レイに会う時間が減るかもしれない。」
異世界からの迷い人。
それは、国に知恵や恩恵を与えてくれる人物。そんな人物が来てくれるのは、国として嬉しいものであり大切な宝だ。
「ますますこの国が発展していくといいですわね。」
「そうだな。」
国が発展するのはとても喜ばしいことだ。国が発展すれば、国民の生活も安定するし、生活水準も上がるだろう。
でも、少しの不安もある。
私も発展していく国に貢献しなければいけないのだ。皇太子妃として。のちは皇后として。
少しの重圧を感じた。
その重圧からだろうか、急に目眩がして、皇太子殿下の前にもかかわらず私は気を失ってしまった。
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