第3話
目を覚ました時、一番最初に目に入ったのは心配そうな顔をした皇太子殿下のお姿だった。
ゆっくりと目を開けると、皇太子殿下がホッとしたように少し微笑んだ。
「よかった。目が覚めたんだね、レイチェル。急に倒れるからビックリしたよ。」
「申し訳ございません。ご迷惑をおかけいたしました。」
両手を皇太子殿下に優しく包まれている。それが少し気恥ずかしい。
ずっと、こうして傍についていてくれたのだろうか。皇太子殿下もお忙しい人なのに。
それにしても私はいったいどれくらい意識を失っていたのだろうか。
「謝ることはないよ。それに、レイが倒れたのは半分は私のせいでもあるんだから。」
ちゅっ。と軽く皇太子殿下の唇が私の頬に触れた。
「そんなっ!倒れたのはエドワード様のせいではございませんっ!!」
「いいや。私のせいだよ。」
「違いますっ。私の自己管理能力が足りていなかっただけです・・・。」
最近は、皇太子妃となる重圧を感じて食事も喉を通らなかったのだ。
それなのに、皇太子殿下は優しく自分のせいだと言う。そんなこと、ありはしないのに。
皇太子殿下は笑みを深めて私の唇に再びキスをした。
「愛しているよ、レイ。君はね、私の子を身籠ったんだよ?」
「えっ・・・?」
優しく囁かれる声。一瞬何を言われたのかわからなかった。
身ごもった・・・。身ごもったって妊娠したってこと・・・?
このお腹の中に皇太子殿下の赤ちゃんがいるの?
そっと、腹部に手をあてる。
まだ実感はできないが、ここに皇太子殿下の赤ちゃんがいるという。
「ふふっ。これで、レイと一緒に過ごすことができるね。皇太子の子を身籠ったレイはもう皇家の一員だよ。来週には君を迎えにくるからね。」
「えっ?」
愛おしいというように、皇太子殿下の手が優しく私の腹部に触れる。そうして、優しくお腹を撫でられる。
それにしても、来週には迎えにくるってどういうことなのかしら?
「レイが私の子を宿してくれたからね。この場合は例外があって、すぐにでも一緒に住むことができるんだよ。でも、部屋の模様替えとかあるから一週間は待ってて欲しい。」
そうだったんですね。
もしかして、皇太子殿下は私が妊娠するのを待っていたのだろうか。そうすれば、早く一緒に住めるからと・・・。
そう思ってしまうと、皇太子殿下の柔らかい笑みが何故か黒く見えてしまった。
その瞬間、何かが脳裏を掠めた。
・・・このスチル見たことある。
え?スチルって何のこと?
なんのことだかわからないけれども、急になぜだか、そのように思ってしまった。
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