米どころ・新潟四大ラーメン

 ラーメンが好きだ。


 幼少の頃からどこに行きたいかと親に聞かれたら、バーミヤンと答えていたらしい。

初めての一人ラーメンは高校生一年生の時で、原付免許取得の待ち時間。妙に大人な気分になった一日だった。

 以来一人でラーメンを食べ歩き、旅に出れば全国津々浦々の名物ラーメンを食べてきた。


 そんな僕が最近訪れた地方名物ラーメンこそが、新潟四大ラーメンである。新潟では地域ごとにラーメンに特徴があり、旅行者としては一つの県で多くの味を堪能でき、大変お得な気分を味わえる。

 ちなみに現在ではさらに進化を遂げていて、新潟五大ラーメンと呼ぶのが主流らしく、一説には七大、八大ラーメンと呼ばれることもあるらしい。なんとも大らかな名物とも思うが、今旅行では旅程の都合上、名物ラーメンのルーツである四大ラーメンを味わってきた。

その四大ラーメンが以下の通り。

 ・長岡生姜醤油ラーメン

 ・新潟濃厚味噌ラーメン

 ・新潟煮干しあっさり醤油ラーメン

 ・燕背脂ラーメン

これに加えて、

 ・三条カレーラーメン

で、五大ラーメンとなるそうだ。

その他にも、豚汁ラーメン、唐揚げラーメン、麻婆ラーメンなどがあるらしく、正直やりすぎ感も否めない。


 まず訪れたのは、四大ラーメンでも唯一の全国区(のイメージがある)長岡生姜醤油ラーメンの元祖「青島食堂」だ。

 訪れたのは夕方だったが、その日は大変申し訳ないことに昼間の遅い時間に海鮮市場でたらふく食べてしまっていた。さらに運の悪いことに思いの外閉店時間も早く、ほのかに満腹感の感じる中での食事となってしまった。完全にこちらの過失である。

 しかしながら、あっさりかつ優しさのあるラーメンはするすると胃に収まった。紛れもなく美味しいラーメンであった。しかしながら今旅行の四大ラーメンの中では、最も印象が薄くなってしまった。

 万全のコンディションに整え、再訪させて頂きたい次第だ。


 次に訪れたのは新潟濃厚味噌ラーメンの元祖「こまどり」。新潟市の中でも南に位置し、およそ車がないと訪れるのは難しいだろう。

 モチモチとした太麺が特に印象的で、味噌スープに絡んだ麺の美味しさたるや。この店では麺を選択することができる仕様だったので、ぜひ違う麺でも試してみたい。

 ラーメンの美味しさはもちろんのこと、餃子のあまりの大きさに驚かされた。餃子の定義に詳しくはないが、これはもはや肉饅頭だな、そんな事を胸裏で呟きながらかぶりついた。


 新潟煮干しあっさり醤油ラーメンの元祖「三吉屋」は、新潟市内の繁華街古町周辺に位置しアクセスは抜群。アーケード商店街がいくつもあり、懐かしい雰囲気を醸し出す店についつい引き寄せられるエリアだった。

 三吉屋の店舗自体も歴史を感じ、店主と仲良さげに話をしていたお客さんもいたので、昔から愛さ続けている感じが滲み出ていた。

 スープを一口すすれば、思わず顔を上げ連れの方を見る。すると自然に目が合う。こういった経験はないだろうか。美味しいものと巡り合った時だけに起こる、言葉の要らない合図を。まさにそんなラーメンに出会えた。


 最後に訪れたのが燕市の幹線道路を少し外れた裏通りにある、燕背脂ラーメンの元祖「杭州飯店」だった。

 実は旅行中既に一度訪れていたのだが、その日は生憎の臨時休業。どうしても諦めきれず、その後の旅程をどうにかやりくりしてのリベンジとなった。

 再訪に加え、広い店内もほぼ満席。最後の四大ラーメン。高まったハードルを難なく超えてくる、美味しいラーメンがそこにあった。

 太麺に負けない、パンチのある背脂と濃厚なスープ。さらに荒く刻まれた玉ねぎの爽やかな辛みがマッチしていて、つい追い玉ねぎをしてしまったほど。

 学生時代に比べ、背脂チャッチャ系のラーメンからは遠ざかっていたが、背脂への思いが再燃してくるのを感じた。


 新潟四大ラーメン。それぞれに特徴があり、どれもしっかりと美味しいことに驚かされた。地方の名物ラーメンを巡っていると、客寄せが先行してしまい、名物化したはいいものの、味が伴っていないと感じる所もある。

 しかしこの新潟四大ラーメンは自信を持ってお薦めできる。好みの分かれるラーメンもあるが、きっとお気に入りの一杯が見つかるだろう。


 散々ラーメンについて語って来たが、この旅行での食のハイライトはと問われれば、実はラーメンではない。

 先述した、豚汁ラーメンを求めて妙高にある「とん汁 たちばな」を訪れた際、もちろんラーメンも食したが、とん汁と白米これが今回の旅行で最も美味しく、印象に残ってしまった。

 ラーメンを求めた旅行だったのに、一番は白米。

 恐るべし、米どころ。

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