エスケープ・フロム・フロントA

槇灯

いつだって世界は終わってる　

目を逸らして　回れ右

現実が段々遠くなっていく　

後ろばかりが綺麗だって　

背中は振り向いたって見えないもので

イメージだけが美しく　大きく遠くなっていく

遠近法がバカになっている

振り返ると　相も変わらず

あの頃は良かったなあって　

あの日死んだ僕が　液晶ディスプレイの向こうで歌っていた

この頃最高だって　歌わないのは何故だ、ロックスター

遠近法がバカになっている

現実が感じられる？　触れられる？　

逃げ出して振り返れば　美しき世界だったらしい

いつだって世界は終わってる

あの日の僕を殺したのは　僕で

僕は明日の僕に殺されるだろう　

変化を受け入れよ！　停滞は悪である！

破壊せよ、安寧を　なんのために！

夢を殺せ！　過去を殺せ！　虚構を捨てろ！

外野席が喚いているなぁ

現実を見ろ　現実を見ろよ　この汚い現実を見ろ　なんのために！

今日を生きたい僕が押し殺されてしまう！　

生きたいよぉ　生きたい　生きたい　

僕は今日の僕のままで　生まれた時から連続した僕のままで

生きたい　僕の命を　生きないと

明日なんて　殺してやる

どうだ、背中に石を投げるか？　腐った卵を投げるか！

どうせ背中は見えやしない

手が届かない　素晴らしき世界

僕の目に映る　素晴らしき世界

もう現実なんて　どこにも入るスキはない　

明日の僕を殺して　明後日の僕を殺して　10年後の僕も殺して　

今日の僕は今日を生きるさ

終わらない今日を　ずっと　ずっと

最高の今日を！

バカになった遠近法が　錯誤した視界が　現実を虚ろを取り違えたんだ

僕が産声を上げたその日から　

世界は終わり続けている

作者を応援しよう！

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

応援したユーザー